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益田 和久

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第204回 「コパる」ことのデメリット

2025/01/30

前回までは「コパる」ことのメリットや未来予想図について書いてみました。
私自身は複雑や難解なことを「コパる」ことはないので、そのことがもたらす効用は知れています。
ただ日常業務でCopilotを使いこなしている技術者(開発者)の友人に話を聞くと、メリットや将来性と並行して、Copilotへの”過剰な依存”がもたらすデメリットやリスクを教えてくれました。
以下にそれを紹介します。

まず最も懸念されるのが、技術者自身のスキル低下。
Copilotに頼りすぎることで、アルゴリズムやデータ構造の理解が浅くなり、問題解決能力や設計スキルが衰える可能性があるそうです。(今のままだと確実に衰えるらしい)
特に若手の技術開発者にとっては、基礎的な学習機会を逃してしまうリスクが高くなっています。

セキュリティ面では、生成されたコードに脆弱性が含まれる可能性があります。
Copilotは時として古いパターンや安全でない実装を提案することがあり、それらを見抜けない場合、セキュリティ上の問題を引き起こすことにもなります。
また、知的財産権やライセンスの問題も無視できないとのこと。
Copilotが生成したコードが著作権を侵害することや、ライセンス違反となるリスクをはらんでいます。

さらに、ビジネスロジックの誤った実装や、パフォーマンスを考慮していないコードが生成されることもあるそうです。
これらはシステムの信頼性や効率性に影響を与える可能性があります。
また、コードの意図や動作原理の理解が不十分なまま実装が進むリスクがあり、これは長期的なメンテナンス性や障害発生時の対応能力に影響を与えることになります。
上記は技術者の話でしたが、いわゆる文系仕事の私の周辺でも同じような状況が散見されています。
思考スキルの低下、著作権の侵害(パクリ)、誤情報の引用。
早めに間違いに気づければ良いですが、考えないクセがついてしまうと、ますます気づけなくなってしまいますね。

そんなデメリットやリスクを回避すべく、お客様からは思考力強化の研修ニーズが高まっています。
先日は電力インフラ系の会社で「地頭力(考え抜く力)」研修を実施しました。
開催背景は二点あります。
一つは先述したAI依存による思考力の低下への対応。
もう一つは、情報や経験のないこと(コロナ禍対応、SDGs、ジェンダー、世代価値観の相違等)に直面することが多くなり、自ら答えを出していく必要が出てきたことです。
どんなに世の中が進化したとしても、自分たちで考えるという力がないと、その”進化”を上手に操作できないことに、私たちは気づいているわけです。

今回改めて感じたのは、Copilotという強力なツールを利用する機会を得たからこそ、それを扱いこなせる情報やスキルをアップデートしないといけないこと。
それは、PCでも家電でも車でも健康器具でも同じような気がします。
自分に必要な情報やスキルを再度整理して、旺盛なインプットをしていきたいと決意した1月末でした。