世界スーパーバンダム級4団体統一王者、井上尚弥選手。
27戦して1度もなかったダウンを1ラウンドで喫してしまいました。
長いプロ生活で初めてのダウン。
会場には4万5千人の大観衆が集まった東京ドーム。
並の人間であれば強がったり、慌てたりしてすぐに立ち上がり
ファイティングポーズを取るでしょう。
ですが、井上選手が取った行動は、8カウントまでしっかりと膝をついて待ち、
少しでも体力の回復に努めました。
この冷静さにはさすがに驚きました。
井上選手はダウンを喫した時の想定をしていたと試合後のインタビューで答えていました。
そしてこの情報について色々と調べていたところ、
井上選手が出演した数年前のバラエティ番組を見つけました。
そこで井上選手が、今回と同じようにダウンの練習をしているとのこと。
質問をした側も「ダウンの練習?」とさらに疑問を投げかけていました。
試合で一度もダウンを喫したことのない井上選手。
練習時のスパーリングでもダウンを喫するようなことはありません。
そこまで追い込める練習相手もいない可能性もありますし、
階級があまりに違いすぎる相手との練習は危険も伴います。
ではどういった形で練習をしているのか。
井上選手が答えたのは、リング上で一点に集中してグルグル回って、
三半規管をおかしくして立てない状況にし、その場でしゃがみ込むそうです。
皆さんも地域の運動会で、野球のバットをおでこにつけて下を向き、
バットを中心に10回転してから走る、というような競技を見たことがあると思います。
三半規管がおかしくなっているので、まっすぐ走れないどころか、
立つことさえ難しい、という経験がある方も多いと思います。
その状態にした上でしゃがみ込み、8カウントで体制を整えて立ち上がり、
再度スパーリングを開始する。そんな練習だそうです。
どんな試合でもあらゆる場面を想定して最善の準備を施す。
仕事は段取り八分と言われますが、
まさにそれをボクシングの世界戦で見せつけた井上選手から学ぶことは多そうです。