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益田 和久

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第141回 DX導入の現場について

2023/11/16

今週は鉄道会社のDX研修プロジェクトに登壇しております。
朝から夜まで、DXというキーワードを中心において、あらゆる角度から職場の問題解決や業務改善について検討、考察をしています。
前週にDX推進担当としてのマインド醸成や、DX展開のビジョンメイクの講義があったので、参加者のみなさんのレベルが想定以上に高いと感じました。
同時にDX推進にあたっては、前提の“考え方”が大事であることも再認識しています。

そもそもDXとはどういったことを指しているのか?
改めて確認してみます。
経済産業省の定義によると「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」となっています。
一文にいろんなキーワードが入っているので読みにくいですね。(苦笑)

最終的な目的は、製品やサービス、ビジネスモデルの変革による「競争上の優位性獲得」です。
競争上の優位性というのは「他の会社より儲かるしくみをつくる」ことです。
儲かるというのは「収入を増やす・支出を減らす」こと。
しくみというのは「自動化」のこと。難しい話ではありませんが、実際の職場に落とし込んでいくと、従来の目的が薄れてしまうことがあります。

以前もコラムに書きましたが、DX化で勘違いしがちなのは、DX化=IT化やデジタル改善と思ってしまうこと。
勿論関連はしていますが、IT化やデジタル改善はあくまでも入口に過ぎません。
IT化やデジタル改善は、現在の業務で手段や方法を変えられそうなものを置き換えているのが現状です。
DX推進を始めたお客さまにお聞きすると、全社的なルールやしくみ(ペーパレス、はんこ廃止、オンライン会議等)が少しずつ浸透してきているのが現状です。

とはいえ、これまでの仕事の習慣は簡単に変えることは簡単ではないようです。
打ち合わせ時にPC活用を推奨しているお客さまがいらっしゃるのですが、会議室にPCを持ち込まれた上で、ずっと手書きのメモを取っていらっしゃいました。
またペーパレスを推進されているお客さまは「なるべく印刷をしないように」という紙を全てのプリンターに貼られていました。
思わず苦笑してしまうような事象ですが、全社的なルールやしくみは時間の経過とともに定着していくので、現段階では相互に推進啓発をしていくことが大事ではないでしょうか。
その推進啓発において、やはり管理者が積極的に取り組まないとなかなか変わっていかないのも事実です。
ITは詳しくないとか、現状のほうがやりやすいといったことを理由になかなか動かない管理者の方もいるという話をよく聞きます。
今回の研修でもその点が指摘されていました。
技術的な教育だけではなく、DXの目指す大きな目的について、心底納得してもらうような教育が必要ではないかと痛感した今日この頃です。