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岩田 徹

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第99回 戦う意味

2022/11/04

横浜Fマリノスが3年ぶりの優勝を飾るか。
それとも川崎フロンターレがクラブ史上初の3連覇を大逆転で達成するか。
勝ち点差2で迎えた今週末の最終節。
得失点差を考えてもマリノス優位は動きませんが、
奇跡の大逆転優勝を心より願うフロンターレサポーターとして、
最終節はアウェイ味の素スタジアムに乗り込みます。

最終節まで優勝が決まらない一方で、降格争いも熾烈です。
複数チームがJ2へ降格する危機感を持ちながら最終節を迎えます。
そんな中、優勝争いも降格の危機感もないチームの試合への気持ちの持っていき方について、ヴィッセル神戸の酒井高徳選手のインタビューが印象に残りました。

ヴィッセル神戸はシーズン序盤から調子に乗れず、ずっと降格圏内にいました。
監督交替やメンバーチェンジを繰り返し、なんとか調子を取り戻そうとしましたが、
浮上のきっかけを掴むことのないまま、後半戦を迎えていました。
そんな中、終盤に向けて5連勝を飾り降格圏を免れ、2試合の残しJ1残留が決定。
その残り2試合は2位川崎と首位横浜。
またとない相手ではあるものの、それまでの試合とは違ったチームの空気を酒井選手は感じたようです。
川崎との試合。
序盤から押され気味で、少し集中を欠いたとも言えるプレーで先制を許します。
後半に入り同点に追いついたものの、終盤に与えたPKで敗戦。
「後半はやるべきことをやった結果かもしれないが、なんとなく試合に入ってしまった。
優勝争いも降格争いもない。何を目的に試合をするのか。
上位2チームとの対戦で自分たちの力を発揮することが来年につながるはずだが、
その気持ちをどれだけの選手が持って戦えていたのか。」

手を抜こうと考えていた選手など皆無でしょう。
ですが、一人一人の気持ちの持ち方、チーム全体としての意識統一。
引き分け以下なら優勝を逃す川崎との違いは大きかったかもしれません。

迎える今週末の最終節。
ホームで戦う神戸の相手は優勝のかかる首位横浜。
横浜は全力で勝利を目指し優勝を果たそうとするでしょう。
一方の神戸は何を目的に戦うか。
川崎戦での教訓をどう活かすか。
選手個々の気持ちの持ち方もそうですが、それを監督、主将がどうマネジメントするか。
組織運営の大きなヒントになる試合ではないかと、密かに注目しています。