前回は、経営者のレジリエンス(19)経営者のセルフ・マネジメント(タイム・マネジメントI)でした。
今回は、「経営者のセルフ・マネジメント(タイム・マネジメントII)」というテーマです。
優先順位のつけ方
「タイム・マネジメント」では、一般的に2つの軸を用いて仕事を分類します。
それは「重要度」の相対的な高低と、「切迫度」の遠近です。
4つの象限の特徴
「象限1」は、重要度が高く、切迫している象限です。
重要な仕事が突然に降って湧いた(本当は気が付いていなかっただけ、という場合もあります)場合や、重要なことは分かっていたけれど、期限がまだ先だと思っているうちに締め切りになってしまった、といった場合です。
象限1の具体例として、客先からのクレーム、発生してしまった事故、スケジュール的に余裕のない重要顧客からの依頼などです。
こうした内容は、突然多くのエネルギーを注がなければならず、自分一人で解決できずに他者に迷惑をかけることもあることでしょう。
結果として、この象限1の仕事は全力でやらなければなりません。
もしそうなる前に計画的に準備、あるいは小まめに実施していたならば、余裕が出来たはずです。
目の前に降ってきた仕事をこなしているだけの経営者の方は、ずっとこうした仕事をやり続けなければなりません。
「象限2」は、重要度が高く、まだ切迫していない象限です。
実はタイム・マネジメントのポイントは、この象限2の内に、計画的に重要な仕事をやっておくことです。
象限2の具体例として、計画的な資金繰り、社員の育成と幸福度向上の支援、クレームになりそうなことの洗い出しと予防などがこの内容です。
ご自身の「志」に照らし合わせて何が重要なのかを見極めて、計画的に実施していきましょう。
「象限3」は、重要度は低いのですが、切迫した象限です。
いつも忙しいけれど、あまり報われないと思ったら、この象限が犯人という場合が多いのです。
象限3の具体例は、雑用を締め切りぎりぎりまで放置していて、あわてて実施することなどがあります。
客先に持参する資料の直前のコピーや、プリンター・トナー(インク)などが足りなくなり、急に買いに行くなどです。
例えばインクなどは前日までであれば、通販で発注できたはずなのに、プリントする必要がある朝になって切れているならば急遽、買いに行かなければなりません。
部下に依頼する場合でも、非常に迷惑です。
「象限4」は、重要度も低く、切迫していない象限です。
この象限は放っておくと、必ず象限3になります。
象限4の具体例は、明日持参する資料のコピー、簡単な資料の作成、客先に持参する手土産の手配などがこれにあたります。
忙しい経営者は、象限4の内に、次の2種類に仕事を分類することをお勧めします。
①思い切ってやめてしまう
②部下などに余裕をもって任せる
上記②のケースでは、計画的に部下育成を兼ねて仕事を任せる、つまりエンパワーメントをすることも良いでしょう。
次回は「経営者のセルフ・マネジメント(タイム・マネジメントIII)」として「タイム・マネジメントのタイプ」を考えてみます。
レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。
toshiro@miyamacg.com (筆者:深山 敏郎)
株式会社ミヤマコンサルティンググループ