王貞治さんの記録に並ぶ55号を放った9月13日から不振に陥り、
13試合本塁打がなく、その間、ヒットも5本と、
らしからぬ打席が続いていたヤクルトの村上宗隆選手。
史上最年少での三冠王(打率、打点、本塁打)も手に届く成績を残していましたが、
不振により打率では2位の中日の大島選手に2厘差まで肉薄される状態でした。
その状態で迎えたシーズン残り2試合となる10月2日の阪神戦。
高津監督は村上選手に休養が必要と考え、先発メンバーから外しました。
そして翌日のDeNA戦。
打率では大島選手と3厘差となり、3打数ノーヒットでもO Kという状態で先発し、
2打席目に安打を放ち、三冠王をほぼ手中にした後の7回裏。
村上選手にとって恐らくシーズン最終となる打席。
残すは日本人シーズン最多本塁打記録となる一本。
神宮球場に集まったファンも固唾を飲んで注目した打席で、
見事ライトスタンドに56号本塁打を放ちました。
高卒入団5年目の22歳。
コロナ禍でチームメンバーの離脱が相次いだ時期も4番打者としてチームを牽引し、
プロ野球を盛り上げた村上選手。
その村上選手を信じ、1年間4番を任せながらも、
疲れを感じ取って休養を与えた高津監督。
試合後のインタビューで休養を与えるにも大きな悩みを持っていたと、
その心情を吐露していました。
プロ野球選手として試合に出続けることは至上命題。
ましてや昨シーズンから全試合先発出場していた上に、
記録のかかった村上選手であれば尚更出場したかったはずです。
そこで先発を外されたならプライドが傷つくかもしれません。
そんなタイミングで高津監督と村上選手で話し合い、
双方納得の上で休養を取り、最終戦で三冠王と本塁打記録を達成する。
記録を達成させるためという短期の目標ではなく、
村上選手のため、チームのため、野球界のためを考え、
普段から監督と選手で積極的にコミュニケーションを取り、
信頼関係を構築しているからこそ生まれた大記録なのだと感じました。
〜中小企業の採用・育成のヒント〜
関係の質の良さが思考の質の良さを生み出し、
思考の質が行動の質に影響を与え、
前向きな行動が結果の質を向上させる典型的な例だと、
高津監督と村上選手を見ていて感じました。
業績が不振になれば結果の質ばかりを求めてしまいがちですが、
その前提としての関係の質の改善が、ひいては結果に結びつくということを、
多くの経営者や上司が忘れているのかもしれません。
今一度、自社、チームの関係の質を見直してみるのもいいですね。