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益田 和久

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第67回 販売手法の変化

2022/06/16

みなさんは、買い物をするときにいくらくらいまでならネット決済で購入されますか?
先日私の知人がMacBook Proをカスタマイズオーダーして、40万という値段にちょっとだけビビりながらポチったと聞きました(笑)
実物を直接見ないで購入するのは、金額によっては少し勇気が要りますよね。とはいえ、今はどんな商品もオンライン上に情報が掲載されています。
販売者が出している情報に加え、ユーザーレビューも熟読した上で、実店舗に出掛けるパターンが多いのではないでしょうか。
中には実店舗に訪問した上で、自宅に戻ってネット決済をする方もいらっしゃいますね。
このあたりは以前「新たなスキル」という内容でアパレルテナントの方々の販売手法の変化について書きました。

先日の日本経済新聞で住宅メーカーの最大手大和ハウス工業が、住宅展示場を5年間で3割減らすという記事がありました。
コロナ禍の影響で展示場来場者が減っていることに加え、展示場を契機とした住宅注文率が低下していることへの対応のようです。
また近年の人口減少によって住宅市場そのものが縮小していることもあり、今後の営業展開そのものを見直さないといけない時期にもきているようです。
展示場は年間の維持費用も数千万かかるので、閉鎖は仕方ないかもしれません。
ただ、これは以前書きました「ドコモショップの閉店」とは少し異なるような気がします。
スマホの購入はオンラインで完結しますが、数千万の値段がする上にお客様の要望に応じて建物も違いますので、メーカーとの綿密なやりとりが必要です。
私も20年前に住宅メーカーに在籍しておりましたが、お客様と夜遅くまで展示場でお打ち合わせをしておりました。何度もモデルハウスをご覧いただき、間取りやインテリアの仕様をきめていくわけですが、これも実物(展示場)があってのものでした。

その展示場の代わりになるのが、デジタル(オンライン)を活用した営業になるようです。
既に大和ハウスは、昨年からオンライン上で家づくりに関する思考傾向診断を行い、個別最適の情報発信をしたり、住宅展示場をVR体験できるサービスも展開しています。
これまで住宅展示場に出掛けることで体感できたことが、家に居ながら好きな時間でできるわけです。
また対象者を限定した上で、DX最先端のメタバース住宅展示場も公開しているようで、スマホやPCを通じて、お客様と営業担当者がアバターになって、仮想空間上の住宅展示場内を案内、見学することができるらしいのです。
オンライン上の仮想空間内の住宅展示場を、様々な角度から隅から隅まで見学できますし、お子様やペットの目線も体感できるようです。
お客様は、床や壁紙・天井等の色や素材、インテリアなどをその場で切り替えて、実際のイメージを検証できます。
勿論、仮想空間上でのお客様と営業担当者との会話もアバター同士でできるので、質問や相談も対応可能。
その他、メタバース上でのカタログなどの確認も可能なので、完全に「展示場なし」の商談のプラットフォームは出来上がっているわけです。

社内インフラの整備や営業担当者のスキルアップ、お客様の住宅取得への価値観もあり、この「メタバース営業スタイル」に全てが切り替わるには、まだ時間はかかるでしょうが、世の中全体としてDX化が進んでいくと、お客様がこういった営業スタイルを求めてくると思います。
ただ、完全に展示場を使わない、お客様と営業担当者が対面しないということにはならないと思います。
展示場に来場される、営業担当者と直接会うときは、ほぼ最終段階になるのではないでしょうか。
そこまでに、オンラインでの情報提供やDXを活用したアプローチでどこまでお客様を引き寄せていけるのか、これからはまさに「ゲーム感覚」で進めていく考え方が、営業担当者に必要なスキルの一部であることは間違いないと思います。

そして人材育成に関わるものとして、これからはDXを駆使できるスキル開発のスキームも至急検討を始めないといけないと思った今日この頃でした。