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高松 秀樹

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第292回:「出社か、在宅か」ではない。AI時代の組織戦略

2026/07/17

2026年7月、GMOインターネットグループが約6年半続けてきた在宅勤務の推奨を完全に廃止すると発表し、大きな反響を呼びました。熊谷正寿代表は、「在宅で生産性が上がる人もいる」と認めたうえで、社内データでは時間当たりのPCタイピング数が減少しており、AI時代において「負ける要素は排除する」という判断に至ったと説明しています。

このニュースを単純に「リモートワーク否定」と受け止めるのは早いかもしれません。むしろ注目したいのは、GMOがコロナ禍で日本でもいち早く約4,000人規模の在宅勤務へ移行し、それを「壮大な社会実験」と位置付けながら、6年以上にわたって働き方を検証し続けてきた点です。当初はBCP対策に加え、採用力の向上や従業員のQOL向上、さらにはオフィスコスト削減を見据えた「未来家賃削減」構想も掲げていました。しかし、さまざまな取り組みを重ねた結果、現在の経営環境では出社中心が最適であるという結論に至ったのです。

一方で、さくらインターネットはフルリモートを維持し、多様な働き方そのものを競争力として打ち出しています。同じIT企業であっても、選択した戦略は対照的です。この違いは、働き方に唯一の正解はなく、企業文化や事業特性、そして目指す競争優位によって最適解が変わることを示しています。

AIの活用が急速に進む今、企業が競うべきなのは制度の新しさではなく、成果を最大化できる組織をどのように設計するかです。出社か在宅かという二項対立にとらわれるのではなく、自社のデータや実態に基づいて意思決定し、必要であれば過去の成功体験さえ見直す。その柔軟な姿勢こそが、AI時代の企業に求められる本当の競争力なのではないでしょうか。

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