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高松 秀樹

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第286回:現場で磨いた技術を、街へ広げるミズノの転用力

2026/06/06

東京・神保町の直営店「MIZUNO TOKYO」では、サッカースパイクを求める部活生に加え、近年はスポーツスタイルシューズを目当てに訪れる外国人客も増えています。約2年前に売り場を改装し、スニーカーを主役に据えた判断は的中しました。直近3カ月の売上は前年同月比で約3割増、購入者の7〜8割をインバウンド客が占めるといいます。

事業全体でも伸びは鮮明です。2026年3月期のフットボール売上高は224億円と前期比10.3%増。スポーツスタイルシューズは76億円と前期比約1.6倍、2020年3月期比では約9.5倍に拡大しました。サッカースパイクでも、東京都予選や大阪府予選、U-16世代でミズノ製の着用率が約5割に達しており、競技の現場と街の市場の双方で支持が広がっています。

背景にあるのは、派手な広告ではなく、現場で培った技術を顧客に合わせて翻訳する力です。サッカーでは海外スターよりも「地元の強豪校の先輩」に着目し、実際に履いてもらう草の根活動を重ねてきました。一方、人気スニーカー「ウエーブプロフェシー」は、ランニング由来のソール技術をファッションへ転用したものです。機能をそのまま語るのではなく、「競技の知見が詰まった街履き」という物語として届けた点に、ミズノらしい巧みさがあります。

ものづくりの強さは、技術そのものだけでは完結しません。誰に、どの文脈で、どう伝えるかによって価値は変わります。モレリア40周年の伝統と、スニーカー市場での転用力。ミズノの好調は、日本企業が持つ技術資産を、現場起点で再編集することの可能性を示しています。

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