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星 寿美

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第4回 サイレント型トラブルメーカー社員の解決法

2021/05/09

人間関係が退職理由の入れ替わりが多い職場にはトラブルメーカーの存在が疑われます。

今回は、仕事もでき、上司からのウケもいい社員が、実は、本人無意識のトラブルメーカーだったという介護福祉系企業の例です。

中途採用の田中さんは仕事熱心な社員でしたが、田中さんがリーダーに抜擢されてから新人が次々にやめてしまい、慢性的な人手不足に。

田中さんの上司は「今の新人はちょっと嫌なことがあるとすぐに辞めてしまう!」と捉え、指導熱心な田中さんを応援していました。しかし、過去にない離職率を目の当たりにし、外部コンサルティング導入に至りました。

仕事熱心の影に隠された本当の理由

田中さんが仕事熱心なのは事実ですが、その【モチベーション】は『人から自分の価値を認められたい。』『愛されたい』という想いが、奥底に潜んでいたことに数回の面談(対話)で見えてきました。

マイナス感情から丁寧に対話を掘り下げる中で、それらの想いは、田中さん自身の言葉で言語化し気づいていきました。

このように、トラブルメーカーとなりうる人は、生育期に愛情不足などの問題を抱えている場合があります。
もちろん、どんなに愛情不足で育ってもトラブルメーカーにならない人も多いので、それが『原因』とはなりませんが『要因の一つ』になり得ます。

田中さんの場合は、生育期の愛情不足により「自分の価値を認められたい。」「もっと愛されたい。」という無意識の欲求から・・・

・自分にとって敵か味方を心の中で区別してしまう習慣。
・自分より魅力を感じる人を、全くの無意識でやめる方向に持っていく心理技。

などを、無意識に身につけ行っていたのです。本人は、意地悪でしているわけではなく、無自覚で。

このような場合、まず大事なのは、田中さん自身がそのことを『自覚』し、さらに『心が癒され、落ち着くこと』です。
それは『感情』を丁寧に扱いながら、深い対話を通じて可能となります。

その結果、今まで無意識に行っていた習慣や心理技などが『必要がない』ことが腑に落ちます。

今までのことは『無意識の心理から行っていた習慣』ですから、これからは、安定した心が必要とする新たな習慣が積み重ねられていくのです。

本来の自分を活かして仕事をする

本来の田中さんは、仕事熱心で人から喜ばれることが大好きな性格でした。
だから、心の奥の叫びや不安を自覚され、心が安定してからは、部下とも上司ともいい関係を築けるようになりました。

このような深い心理からくる無意識の習慣を本人が持ったままだと、人を変え、場所を変え、ずっと似たような問題を起こし続けてしまいます。

『一生懸命にやっても人が離れていく』などの現象に、本人も悩みますが、周りの人も大変です!

だから、本来の自分自身で仕事ができる、ということが幸せの一つだと私は、こういう事例に関わるたびに再認識するのです。