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岩田 徹

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第126回 突破口を開く

2023/05/12

ラーズ・テイラー=タツジ・ヌートバー。
先日のW B Cで日本代表の先頭打者として大活躍した選手です。
メジャーリーグの強豪、カージナルスで
レギュラーとして活躍している、現役メジャーリーガーですが、
W B Cの代表選出までは決して日本国内で知名度が高い選手ではありませんでした。
日本代表が発表された時も、「ヌートバーって?」という反応もあり、
他にも好選手がたくさんいる中での選出で、
半信半疑だった方も多いのではないでしょうか。
日本語が話せないヌートバー選手も不安はあったと思います。

大会前のキャンプでの合流初日。
日本チームの選手たちは「タツジ」とプリントされたTシャツを着て、
ヌートバー選手を歓迎し、ヌートバー選手も笑顔で応えました。
通訳を介したり、メジャーで活躍する大谷選手やダルビッシュ選手が
積極的にコミュニケーションを取り、
心理的なハードルを一気に排除しました。
また大谷選手からの要望で、
チームが輪になれるパフォーマンスをヌートバー選手に依頼。
ヌートバー選手は所属チームでもやっているペッパーミルパフォーマンスを考案。
「小さなことからコツコツ継続して取り組むことで、良い事が起こる」
という意味が込められているそうです。

そして迎えたW B C初戦の中国戦。
史上最強と言われる日本代表でさえ、国際舞台の初戦は緊張感もあります。
また本格的にシーズンを迎える前の段階での真剣勝負。
超一流の選手たちでも結果に対して不安になったでしょう。
そんな緊張感が張り詰める中、
日本代表の先頭打者として打席に立ったヌートバー選手。
その本当の実力を知らない日本国民も固唾を飲んで注目した打席の初球。
ヌートバー選手が思い切り放った痛烈な打球がセンター前へと転がり、
一塁ベース上でのペッパーミルパフォーマンスをいきなり披露しました。
その後は3連続四球で日本が先制。
ヌートバー選手の一打が日本チームに勇気を与えただけでなく、
相手投手に精神的に大きなダメージを与えました。

未知の相手と対峙する時は、誰もが不安を抱えるものです。
その突破口を痛烈に開いたヌートバー選手。
その後のWBC制覇への流れを作った一打と言っても過言ではないと思います。
組織が停滞・沈滞している状態で流れが悪い時、
そんな時こそ勇気を持って突破口を開く人材が必要だと思います。
ヌートバー選手のように初回、先頭打者、初球を振り切れる思い切りの良さ。
見習っていきたいものです。