4月は、新入社員研修の登壇や運営であっという間に1ヶ月が過ぎました。
並行して中堅社員研修が登壇もあり、スタンス(気持ち)の切り替えが上手くできるか自分でも少し気はしていましたが、想定以上にスムーズに運営することができました。
中堅社員の立場から新入社員を、新入社員の立場から中堅社員をそれぞれ客観視することができ、その気づきや学びは大いに役立ったような気もします。
その新入社員研修でありますが、企業・団体(以下会社とします)の特性によって、期間も内容も幅があります。
私たちが担当するマナー、マインド、コミュニケーションは、初期段階での3日間程度です。
そこから先は配属先のOJTに一任する会社もあれば、自社業務に必要な知識技能教育を半年から9ヶ月くらいかけて実施する会社もあります。
新入社員の指導員や上司向けの研修をやっている関係から、新人教育の計画全般をお尋ねするようにしていますが、今年少し気になることがありました。
DX(デジタルトランスフォーメーション)教育を組み込む会社が増えてきたことです。
コロナ禍も収束を迎え、出社率が少しずつ増えて各種イベントも復活してきたからこそ、DXを中心においた新しい働き方、仕事の進め方の研鑚は重要なことです。
そして、何事も最初が肝心なので、新入社員の段階からそれを学ぶことは合理的だと思います。
気になるのは、研修後に職場に配属されてからのことです。
DX初期教育の程度や範囲は会社によって違うので一概には言えませんが、学んだ内容を職場の方々はDXについてどのくらい指導できるのかということが、商売柄どうしても気になります。
また会社によってDXの展開内容も異なりますので、DXに対する各人の意識や向き合い方もバラツキがあると思います。
いずれにしても、新入社員は、新入社員研修で学んだことを配属先で実践展開して、自己成長を実感したい、職場貢献をしたいと思っています。
そこには、職場の方々のフォローアップが不可欠です。フォローする時間がないとか、教え方がわからない等といったOJTにおける慢性的な問題はありますが、一番困るのは、職場(の方々)がDXについていけているか、実践展開する気がどの程度あるのかということです。
DXに関することを質問されたときに即答できるとか、職場全員が最新鋭のことをやっているとか、そこまで会社も求めていないはずです。
新入社員にも「職場も取り組み始めたばかりだから」ということは伝えていると思います。
大事なことは、職場の雰囲気や上司・先輩の姿勢です。
「私もあまり詳しくはないけど、一緒にやっていきましょうね」「まだやりはじめたばかりだけど、このあたるは勉強しておいたほうがいいよ」といった姿勢で接してもらえると、新入社員も「先輩達も試行錯誤しているんだな、私も頑張ろう」と素直に思えるような気がするのです。
避けて欲しいのは「DXなんてそのうち手をつければいいよ、新人は先にこっちからやってよ」といった対応です。
新入社員の教育課程を鑑みると、そういった対応もわからなくもないのですが、「新入社員研修で学んだことはあんまり意味がなかった」といった気持ちになるのは避けたいところです。
理想と現実がうまく噛み合わないのはよくあることですし、新入社員の初期教育ではよくあることです。
とはいえ、新入社員研修で「あいさつが大事」と学び、元気よく職場で挨拶をしたのに挨拶が帰ってこなかったからどう思うでしょうか。
それが社会の現実という意見もありますが、こういった細かいところに、離職防止や士気向上のカギがあるのではないかと感じた4月の終わりでした。