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星 寿美

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第70回 うつの兆候のある社員への接し方

2022/08/22

先日、某会社さまから『うつの兆候のある社員への接し方』というテーマでセミナーをしてほしいと依頼がありました。

私としては、初めてのテーマでした。
そして、うつそのものに関しては、もちろんお医者さんしか対応できないと思います。
でも『うつっぽい人にどう対応していいのか?』『そもそも、うつにならない健康組織であるためにどうしたらいいか?』は私の十八番です。

うつ、という言葉を今までテーマとして使ったことはないのですが、
①困った社員を育成する
②対立を根本解決する
③関係の質を上げて自走組織に育成する
ということが私の専門なので、私の立場・観点からセミナーができる!と思いました。

今日は、そのコンテンツの中から一つをシェアしたいと思います。

うつの兆候があってもなくても、
まず、コミュニケーションの大原則をお伝えしたいと思います。
うつの兆候が見られる場合は、この大原則がなおさら大事ですが、通常の場合でも大原則!です。

まずコミュニケーションは双方向のキャッチボールが基本ですよね?
これは誰でも知っています。

けれど、双方向だと思いこんでいて、実際には一方的だという場合が非常に多いんです。
双方向のキャッチボールである『対話』が最も大事だけれど、実際には対話ではなくて一方的コミュニケーションである。ここを意識できるといいかな、と思います。

「いや、星さん。私はかなり気をつけて傾聴しているつもりだから大丈夫だよ。」
「しっかり対話できているよ!」

などとおっしゃる方もいるかもしれません。
もちろん傾聴、めちゃくちゃ大事です。
実践されているのであれば、素晴らしい!でも実は、傾聴『だけ』だとそれも一方通行です。

また、対話できているかどうかは、相手もそう感じていることでやっと「できている」ということになるので、こちら側だけでは判断できないのです。

そして、よく言われる『共感』これは、暴力になりうることもあるんです。
この話は、長くなるので次回の記事でお伝えしますね。

ここでは、双方向コミュニケーション5つの大原則をお伝えします。

1:必ず、主語を自分にして話すこと!
2:自分から自己開示をすること!
3:意図や目的を明確にすること!
4:アドバイスは求められた時のみ!
5:感情を大切に扱う!

この5つです。読めば簡単なことばかり。でも実践できているでしょうか?

例えば、1つ目の『必ず、主語を自分にして話すこと!』これができているだけで、結果が大きく変わることは多いんですよ。

でも実際には
「どうして、こんなこともできないんだ!」「どうして何度言っても繰り返すんだ!」「もっとやる気出せ!」「もっと周りをみろ!」などと・・・

状況を見て、見たまま判断して、そのまま伝えてしまうこと・・・
とても多いんです。

明らかにそうとしか見えないことでも、事実は誰にもわからない。
それを、主語を相手にして「あなたはこうだ」と伝えている場面の多いこと!多いこと!

主語を相手にしてしまうと、その後、その本人が何を言っても「いいわけ」のように聞こえてしまうんです。
事実を決めつけてしまうと、その後のコミュニケーションは、どんなに相手に話させたとしても一方的なものになります。

しかし『自分がどう感じたか?自分からはどう見えているか?』は、自分にとっての事実なので、主語を自分にしたら何を言ってもいいんです。

「私からは、やる気のないように見えるんだけれど、実際はどうなの?」
「私だったら、こうすると思うけれど、そうしたのには何か理由があるの?」

主語を自分にすれば、その後、本人も話しやすいし、決めつけられたことが前提の対話ではなく、フラットな対話なので、双方向コミュニケーションが成り立ちます。

たかが主語。でもそれだけで、結果が変わるんです。

2つ目3つ目の、自分から自己開示したり、対話の目的を伝えたりすることも大原則です。
自分のことを話さない相手に自分の本音なんて怖くて言えないですからね。
そして、なんのために話しているかわからなければ、何を伝えていいのか混乱します。

4つ目の、アドバイスは求められた時のみ!というのもぜひ心に留めていただけたら嬉しいです。
じゃないと、人はついアドバイスしたくなるものだから。
相手には、自分から気づいてほしいし、自分で考えてほしいですよね。
人は、自ら気づいて決断したことはやる気を持って取り組みますが、言われてやることは「やらされ感」なのです。

5つ目の、感情を大切に扱う方法については、これまでの記事内でもたくさん書いてきました。
小さな違和感や怒りなどのマイナス感情を大切に扱って、その奥にある、自分だ大事にしている価値観や思いを言語化しましょう!ということです。

コミュニケーション5つの大原則は、うつの兆候があってもなくても大原則!
特にうつの兆候が見られるのであれば、ぜひ実践してほしいと思います。

コミュニケーションは双方向のキャッチボールが基本だと、誰でも知っているけれど、実際には一方的だという場合が非常に多いから・・・。

5つの大原則の目的は双方向のコミュニケーション。
それは言い換えれば『ありのままを受容しあい、理解し合う』ということです。
そしてまた、この大原則は「人を気持ちよく動かす!」ということにも通じます。

ぜひ実践してみてくださいね!