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加倉井 正和

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第74回 気づかない

2022/05/10

体験型研修では、アクティビティを通して「気づき」を誘発するプログラムです。
「気づく」か「気づかない」かは本人次第になりますが、「気づき」が生まれやすくなるようにファシリテーターが振り返りなどを行います。

日常的に仕事をする上で、他者の「気になること」ってありませんか。

以前、聞いたお話です。

在宅ワークが主体になったAさんは、久しぶりにオフィスへ出社する機会がありました。
斜め前の机には、Bさんが座っています。
すると突然、Bさんがオンライン会議システムを使っての打ち合わせが始まりました。

ヘッドフォンなどはなく、会話は周囲に駄々洩れ。
周囲の音で音声が聞き取りにくいのか、スピーカーも声量もMAXでオンライン打ち合わせを行っていました。

周囲のメンバーは、電話対応や資料作成をしています。
若干、迷惑そうな表情も垣間見えました。

しばらくするとBさんの打ち合わせは終わりました。
しかし、Bさんへ指摘する人は誰もいませんでした。

もちろんAさんも迷惑だと思ってはいたもの、指摘はしなかったそうです。

なぜかと聞いてみると、
年上だったこともあり、なんか言いづらかったとのことでした。

もしかして他にも気になっていることがあるのかを聞くと、静かにうなずくAさんでした。

Bさん本人は周囲が迷惑だと思っているとは気づいていません。
電話もそうですが、自身の声の大きさがわかりにくいのかもしれません。

オフィスの仕事をする環境への影響もあるかもしれませんが、相手に影響を与えてしまう場合もあるかと思います。

Bさんのオンライン会議の相手からすれば、周囲の音がうるさいと感じているかもしれませんし、電話先の相手はうるさいオフィスだと感じてしまうかもしれません。

何度か過去のコラムでも書きましたが、職場環境をつくるのはそこにいる人達です。
ただ指摘すれば良いという訳ではなく、なぜそれが必要かを考えて行動を変える為の「気づき」が必要になります。

もし指摘すれば、普通にみんなが会話していることや電話していることと同じだと言われるかもしれません。

どうやって互いの理解を深めるか、みんなの認識を合わせられるか。
人は同じではないので、これだという絶対的な答えはありません。

意見を述べることも、受け入れることもできる環境が必要ですね。

体験型研修では、自分の行動を振り返り、気づきを得ることができます。
相互理解を深めることや共通認識を持つことで環境が変化していきます。
自分の行動を変えるきっかけに繋がるのではないでしょうか。