第45回 いい組織は『自浄作用』が働く!
2022/02/20
『何度言っても同じ間違えを繰り返す』『常識はずれなことをする』『言い訳ばかりする』『人を悪く言って組織を掻き回す』などの問題社員が、自分たちの組織に入ってきた時に、往々にしてその人を『変えよう』とするコミュニケーションをとってしまいがちな組織が多いです。
しかし、人を変えようとしてしまうと、なかなかうまく行きません。
もちろん、伝えるべきことは、しっかり伝えるべきですし、教育も必要。でも、その人自身を『変えよう』としてしまうと悪循環になりがちです。
例えば、遅刻を何度も繰り返して、その度に言い訳ばかりして反省しない問題社員や、同じミスを何度も繰り返して学ぼうとしない問題社員など、指導する側がストレスフルでヘトヘトになってしまいますね。
指導する立場ではなくとも、同じ部署の同僚たちもうんざりしているかもしれません。
このような場合、どうしたらいいのでしょうか?
『人を変えようとしない』とは?
もちろん、指導は必要です。
具体的な行動だけではなく「なぜそうすべきか?」などを伝えたり、考えてもらったりして、気づきを促す。
また、その社員の話も傾聴しつつ、こちらの伝えたいことも伝え、対話を深めながら関係を構築しながら、適切な指導をするのは大切なことです。
しかし、それでも改善されない問題社員は存在します。
そんな時に、つい人を変えようと躍起になってしまう場合があります。
人を変えるとは、例えば「なんで、こうしないの?」「ちゃんとやってよ!」「人の話をもっと素直に聞け〜っ!」などです。
指導は必要ですが、相手を変えようとすると、お互いに疲弊してしまう場合があるのです。
では、どうしたらいいのか?
必要な『できる限りの指導』と『コミュニケーション』をとっていたら、あとは、その人を変えることにフォーカスするのではなく、自分たちのことにフォーカスします。
自分たちのことにフォーカスする!
組織には、ビジョンや理念や行動指針があると思います。
それらに社員一人一人が共感し、同じ目的に向かっている仲間です。
お互いに触発試合ながら成長している同志です。
リーダーをはじめ、同僚たち一人一人が、そのビジョンや理念や行動指針に沿って、一人一人が『自分らしさや強み』を発揮し、やりがいを感じて仕事に取り組んでいれば、実は、そのことこそが『教育』なのです。
問題社員を変えようと躍起になったり、ストレスフルになってしまうと、悪循環に陥りますが、そこにはフォーカスせず、一人一人が『自分らしさや強み』を発揮し、やりがいを感じて仕事に取り組んでいるだけでいいのです。
『自浄作用』とは?
一人一人が共感しているビジョンに向かって、やりがいを感じて自分を発揮できている組織には『自浄作用』が働きます。
例えば、問題社員がその組織に入ってきたとしても、その問題社員が、周りの人たちに刺激を受けて『成長する』か、もしくは居心地が悪くなって『自ら辞める』か、どちらかなのです。
こちらが相手を『変えよう』としてしまうと、そこで対立が生まれ、お互いに疲弊します。
けれど、相手を『変えよう』とはせずに、必要な指導をしつつも、ただ淡々と、自分たちの道を歩くことです。
人はお互いに影響し合う動物なので、それだけで、自然に影響されて、お互いに成長することができます。
本当にそれぞれが自分を活かし、やりがいを感じ、仕事に取り組んでいれば、それが何よりの教育です。
問題社員が、そこに影響を受けて成長してくれるか、居心地が悪くなって自ら去るか・・・
いずれにせよ、自浄作用が自然に働くので、心配はいりません。
組織に貢献している社員が、たった一人の問題社員に疲弊してパフォーマンスを落としてしまうことの方が大きな損失です。
必要な指導をしつつも、人を変えようとせず、自分たちらしく在ればいいのです。このことを失念して、教育する立場の方が疲弊し、ノイローゼ状態になる事例が多発しています。
なので、問題社員が組織に入ってきたら、まずこのことを思い出してくださいね!
『いい組織には自浄作用が働く。』
いい組織とは『一人一人が自分を活かし、やりがいを感じている、そして関係の質が良い組織』です。
そんな組織であれば、時代が代わろうが、イレギュラーな問題が起ころうが、問題社員が紛れ込もうが、乗り越えられるのだと、私はいつも現場で実感しています。