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岩田 徹

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第256回 51

2025/11/14

ドジャースの劇的な逆転勝利で幕を閉じた2025年のワールドシリーズ。
先に優勝に王手をかけられた状況から、敵地トロントでのゲームで連勝し、
見事に連覇を果たしました。

そのワールドシリーズ直前の10月23日に、
ドジャースの救援投手であるアレックス・ベシア投手が、
「家庭の深刻な事情」でチームを離れ、ワールドシリーズへの参加を見送りました。

べシア投手は今シーズン、68試合にも登板し、
ドジャースの救援陣にとっても中心となる選手です。
べシア選手やご家族のことを思い、
ドジャースの選手たちはべシア選手の背番号である「51」の番号を帽子に縫い付けました。
また事情を知った対戦相手であるブルージェイズの選手たちの帽子にも、
「51」の背番号が縫い付けられていました。
世界一をかけた戦いでありながらも、対戦相手を敬い、事情のあるご家族への想いを形にし、
そして正々堂々と7試合を戦い抜きました。

ワールドシリーズ後べシア選手から、産まれたばかりの娘さんが
亡くなられたことが公表されました。
また多くの想いを寄せてくれた両チームの選手、ファン、医療関係者への感謝を伝えました。
劇的な戦いとなった一方で、
相手選手への想いを形にして戦ったブルージェイズの選手たち。
その選手たちに感銘を受けたドジャースのファンから、
ブルージェイズの地元、トロントの小児病院「Sick Kids」に
7万5000ドル(日本円で約1,160万円)の寄付が集まりました。
多くのドジャースファンは51ドルでの寄付を行い、その動きが多くの人を巻き込み、
結果、多くの寄付が集まりました。

対戦相手があってこそ成り立つ野球というスポーツ。
勝負の世界では目の前の敵を倒すことにフォーカスしますが、
敵味方関係なく、ともに戦った仲間の辛い思いを想像し、それを表現する。
ワールドシリーズの舞台にいなくても、俺たちはチームメイトだ。
相手チームだが、ともに最高の試合にしよう。
そんな想いが溢れているワールドシリーズでもありましたし、
その想いが多くのファンに派生して、小児科病院へ多くの寄付が集まるという動き。
これもまた、スポーツの良さであると、改めて感じられる出来事でした。