組織の中で「問題社員」や「拗れた関係」を解決しようとコンサルに入ると、しばしば直面することがあります。
それは、
『本人に確認をとっていない』
「え?そんなこと、ある?」と思うかもしれません。
でも、実際には驚くほど多いのです。
もちろん、本人に確認をしたからといって、必ずしも本当のことを話してくれるとは限りません。
けれど、関係者全員の話を聞くことは絶対に必要です。
なぜかというと、人はみんな自分の主観の中で生きているから。
誰も嘘をついているわけではなく、それぞれが「自分の見えている真実」を語っている。
でもその「真実」は、その人にとっての真実でしかありません。
だから、同じ出来事でも全く違って見える。
それをすり合わせていくには、多角的に事実を確認するしかないのです。
今回、ある会社でも同じことが起こりました。
上長(50代男性)が特定の社員(20代女性)から相談を受け、感情移入してしまったのでしょう。
その社員の話を鵜呑みにして、上に報告してしまったのです。
ところが…、そのトラブル元とされたのは、40代のベテラン女性社員。
彼女には話を十分に聞かず、軽く質問しただけで「意地悪で隠している」と決めつけてしまいました。
20代女性は「ベテラン女性のせいでうつ病を発症し、薬を飲んでいる」と訴えていました。
上長は親身に相談に乗るあまり、事実確認を飛ばしてしまったのです。
結果、大きな問題として組織全体に広がってしまいました。
全員にヒアリングした結果、見えてきたのはまったく別の姿でした。
・20代女性社員は、男性社員への距離感が近く「仕事がやりづらい」と感じている人が複数いた。
・40代ベテラン女性に対しては「厳しい面もあるが、全体を考えて動いてくれている」「尊敬している」という声が多数。
つまり、どちらか一方が「正しくて」「一方が悪い」わけではなかったのです。
それぞれが主観の中で「自分にとっての真実」を話していたにすぎません。
問題を肥大化させないために
今回の問題は、上長が感情移入しすぎて、『ベテラン女性を悪者に仕立て上げてしまったこと』が原因でした。
「若い人が育たない!辞めてしまう!」と事態を大きくしてしまったのです。
でも実際には、
・20代女性は、社会人としてまだ未熟だった
・40代女性は、全体のことを考えて行動していただけ
ただそれだけのことでした。
解決の第一歩は「誰も悪くない」
人間は感情の動物です。
だからこそ、感情移入や決めつけは起きやすい。
私も多くの企業に入って、同じような事例を何度も見てきました。
だから大切なのは、
・問題を肥大化させないために
・根本解決につなげるために
「誰も悪くない!」という意識で話を聞くこと。
悪者だと決めてしまうと、どうしても「証拠集めの聞き方」になってしまいます。
でも、誰もがただ一生懸命に生きている。
誰もが主観で物事を見ている。
それだけなのです。
このシンプルな視点に立つだけで、拗れた糸は驚くほど解けていきます。
ただし、社内だけでは風土やしがらみが邪魔をして、冷静に対処するのが難しい場合もあります。
そんな時は、外部の第三者に委ねることも一つの解決策です。
もし、組織内で拗れた関係や「困った社員」への対応に悩まれているなら、ぜひ気軽にご相談ください。
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