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深山 敏郎

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第167回 困ったときの老荘だのみ エピソード67

2024/08/27

毎回老子の言葉をひとつずつご紹介しています。
コラムの166回目では、「小知に頼れば国政は乱れる」を検討してきました。
老子は言います。
「小賢しい知に頼る政治はうまくいかない」と。

今回は「統治者はへりくだらねばならぬ」です。

「統治者はへりくだらねばならぬ」とは何か

今回は老子の言葉「統治者はへりくだらねばならぬ」の意味をご一緒に考えましょう。
老子は統治者の徳を、河川と海に例えています。
「どのような小さな川からも、大きな川は水を受け入れる。そして海はどのような川からも水を受け入れる」と。

老子は海や大河を聖人に例えているのです。
小さな河川を含めてあらゆる水を受け入れるには、自らはそれよりも下にいなければなりません。
自分が偉そうに振る舞うのではなく、頭を低くしてこそ他者が従うということです。

へり下ることの難しさ

私たち小人は、とかくその逆をやりたがります。
他者よりも自分が優れていると考え、他者の意見を聴かず、我を通そうとする。
そうしたことをやりがちです。
結果、他者の良い知恵を活用することが出来ず、意思決定が他者に受け入れることができるものからかけ離れてしまいます。

老子が考える聖人による政治とは、企業経営にも、組織運営にも役立つ考え方であり、現代風の言葉を用いれば無私の精神による「傾聴」の大切さを伝えてくれているのではないでしょうか。

本コラムが私たちの日々の悩みを和らげ、深く自省するきっかけになれば幸いです。

「老子」に関しては、徳間書店「中国の思想」第6巻 「老子・列子」を参考にさせていただきました。

レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。

(筆者:深山 敏郎)
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