リモートワークにシフトする方が増えて、そのメリットを最も実感するのは、打ち合わせがオンラインになって、移動が少なくなったことです。
近場のお客さまは勿論のこと、遠方のお客さまとも、今まで以上に距離感が縮まったような気がします。
オンライン上での話し方や聞き方、相互通行のコミュニケーションのポイントについては、この連載の4回目、5回目でお伝えしました。
ただ、参加人数が多い会議となると、周囲とのやりとりにおいて、留意しなければならないことも増えてきます。
通常の対面の会議においても、(その内容によりますが)「積極的に発言しよう」「他人の意見に耳を傾けよう」というような基本姿勢を定めたグランドルール(事前に設定しておく話し合いの規定)は、よく見かけます。
オンラインでも、それは大前提ではあるのですが、もう一歩踏み込んだルールを設定すると、合理的で、ストレスフリーな打ち合わせを進めることができます。
例えばZoomでは、報告や伝達の内容が多いときには、参加者の集中力を高めるように、「スピーカービュー」(teamsは「スポットライト機能」)をルールにして「話し手」を認識してもらうようにします。
発言者以外の音が入らないように、発言時以外はミュート設定を基本ルールというのは、多くの方がやっていると思います。
一方で、意見交換を活発にするためには、参加者全員の顔が見える「ギャラリービュー」の設定に切り替えてもらい、参画意欲を高めてもらうようにします。
その際、発言が被るときがあるので、話したいときは「挙手をしてからミュートを外して待機する」といったルールがあると、進行役も進めやすいですし、会議もテンポ良く進んでいきます。
いずれも発言の際には「必ずカメラを見て話す」「意思表示は手ぶりを使う」といったルールがあると、思い入れのあるメッセージを伝えることもできるでしょう。
また、発言者の話が長くなったり、話が脱線したりすることはよくありますが、オンラインでは、特にその傾向が強いようです。
ですから「発言は1分以内」「意見、質問、提案のどれかを先に言う」等のルールを設定し、メリハリをつけることも効果的です。
話の脱線を防ぐために、オンラインホワイトボードで議事録をとりながら、脱線した内容は、あえて欄外(隅っこ)に記載するようなルールを設定している会社もあります。
その内容や目的に合ったルールを定めればいいと思いますが、集団活動ですから、ルールが明確であるほど、メリハリがでることは確かですし、運用していく過程で、どんどん変更していけばよろしいかと思います。
ただ、会議前にグランドルールを設定しても、議論が白熱したり、時間が過ぎていくと、参加者もルールについては忘れがちです。
そうならないように、進行役の画面背景にルールを記載したスライドを設定して、常に目につくようにするのもいいでしょう。
あるいは、手元にある別の端末(スマホやタブレット)で会議に参加して、その端末の画面全体にグランドルールを表示させるといったこともできるでしょう。
これ以外にも、いろんなルール設定はできると思います。
人の気配を感じにくい、間合いが取りにくいオンラインコミュニケーションだからこそ、一定のルールを決めて、スムーズに進める工夫をしてみませんか。