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益田 和久

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第108回 リアルとオンライン

2023/03/30

私が世の中の動向を把握やアップデートしていく上で、よく参考にさせていただいているのがジャーナリストの佐々木俊尚さん。
物事の見方に偏りがなく、またご自分なりのお考えもしっかりもたれている。
情報収集も幅広くされていて、並行してTwitterやメルマガで分析や評論も頻繁に掲載されています。
言葉や情報を活用した生業の私としては、その仕事ぶりを目標にしている方の一人でもあります。

その佐々木さんが、先日ラジオで以下のような主旨のことを話されていました。
「現場への取材は記者(物書き)の基本だと思う。ただ今の時代、インターネットを上手に活用しないのは時代遅れだ。例えばシリコンバレーに取材に行っても現地で会える人は限られている。インターネット上を検索すれば、現地キーパーソンのインタビュー記事や、各企業の最新情報はいくらでも載っている。大事なことは現場取材とインターネット検索のバランスをとって、目的に沿った成果を出すことだ」

まさに仰せの通りだと思いました。
ひと昔前だと「現場に行ってみないと、直接会ってみないと」という考え方が主流だったような気がします(益田の主観です)。
営業部門の現場では、担当者が日中にデスクワークをしていると「デスクワークばっかりやってないでお客さまを訪問しろ。お客さまに会わないと仕事にならない」といった指導がよくありました。
確かにお客さんに会うことは大事ですし、お客さまのお仕事ぶりや会社の雰囲気も行ってみないとわからないことがあるのも事実です。

一方で、今の時代に、事前に入念な下調べもしないでお客さまにお会いするのは、自分の価値を下げてしまうことにもつながりかねません。
むしろ事前にインターネットで十分な情報収集をして、相手に会ったら(現場に出向いたら)事前収集した情報の成否、背景や理由を確認することは勿論のこと、複数の情報から立案された「仮説」を検証することもできます。
インターネットの情報の活用次第で、仕事の効率性、合理性が全く違ってくるわけです。

ただ、気をつけないといけないのが、(知らず知らずのうちに)インターネットの情報に頼り切りになってしまい、現場に出向かなくなることです。
コロナ禍になって、対面で一度もお会いせずに成立している仕事があります。
ビデオ会議の品質も、各人のオンラインリテラシーも向上していますので、対面と大差のない接点は創れてしまうので、対面で会う必要性を感じなくなることがあります。
それでもビデオ会議はリモートとはいえ「対面」しているので、まだいいかもしれません。
それでも会ってみないと、行ってみないと、見てみないとわからないこと、得られないことも多々あるような気がします。インターネットではどこまでいっても、人も情報も画面に映っている、載っていることしか把握できません。
視覚と聴覚は発揮できても、触覚、味覚、嗅覚は発揮できないわけですし、何よりもその空間で生まれる直観や第六感のようなものが、新しい仕事や成果を生み出す源泉であると感じています。

コロナ禍も収束し、これから対面の仕事も増えてくると思いますが、インターネットの情報を上手に活用し、対面の仕事の付加価値を上げていきたいと思う今日この頃です。