人材採用・人材育成に必要なのは、環境と仕組みと人材です。
環境とは組織に人を受け入れる準備が整っていること。
仕組みとは、人を育てる手順が確立されていることです。
そうして初めて良い人材を生かすことが可能となります。
これを料理に例えてみましょう。
美味しい料理を作ろうとしたら、
料理を作る人のことを考えた調理場になっているか?
調理器具は揃っているか?
シェフの腕が良いか?
そして、食材が相応しいものかどうか?
この中のどれが欠けても美味しい料理はできません。
条件の組み合わせで料理の味も決まるのです。
人材採用も人材育成も共に大切ではありますが、私がより人材採用を重視してる理由は二つあります。
一つは人を人材採用しなければ、そもそも人材育成ができないということ。
二つ目は、人材採用を手抜きしてしまうと、それを人材育成ではカバーできないということ。
つまり企業と人材のミスマッチが起こる可能性です。
人材育成で良くある勘違いが「こちらの望み通りの人材を採用すれば、あとは手をかけなくても大丈夫だろう」という誤解。
特に、人材育成に力を入れていない会社になると、そのまま放置してしまったり、現場に丸投げして育てるだけの余裕がなかったりします。
そうするとせっかく採用してもうまく育たなかったり、早期に辞めてしまったりして、人員が安定しない結果となるのです。
私の考える良い人材とは能力やスキルのことではありません。
もちろんそれも大事なのですが、新卒社員にそれは求められませんし、新卒社員だろうと中途社員だろうと経験やスキルよりもっと大切なものがあります。
それは、考え方です。
「ですが考え方は誰でも変えられるものです。それが良い人材の基準ですか?」
そう思われる人もいるかもしれません。
しかしこれが一番難しいのです。
人は生きているうちに学習し、やがて「自己」を形成してそれを判断の拠り所とするようになります。
ところが自分の考え方を「正しい」「これしかない」と思い込んでしまうと、他の可能性を容易に受け付けなくなってしまいます。
そうした考え方は、私たちが思っている以上に多くの影響を与え、行動を制限しているのです。
会社の人材採用活動で言うとそれが人材のミスマッチが起きる原因の一つです。
働く側から言えば「仕事内容が良くてもこの会社の方針は受け入れられない」ということになり、
採用する側から言えば「価値観が違う」というような事態のことでしょう。
こうしたことは、人材育成で取り戻せるものではありません。
このような不幸を避けるためにも人材採用はしっかりと行わなければならないのです。