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岩田 徹

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第12回 半足分の違いが生み出した感動

2021/03/05

2016年のリオオリンピック陸上男子400Mリレー。
ウザインボルト率いるジャマイカに敗れはしましたが、日本は堂々の銀メダル。
眠い目を擦りながら感動したことを今でも覚えています。

この時の日本チームですが、
決勝を走る4選手の100Mのベストタイムの合計は40秒38。
優勝したジャマイカが39秒68。3番目にゴール(その後失格)したアメリカが39秒52。
日本チームは決勝進出8チームのうち7番目の持ちタイムであり、
個々の走力のみの戦いでは勝つ可能性が低いことを意味していました。
しかしリレーの重要な要素の一つがバトンパスです。

効率の良いバトンパスのポイントとしては大きく3つあります。
1.いかに減速せずにバトンを渡せるか。(減速の最小化)
2.加速した状態でバトンを受け取れるか。(トップスピードまでの時間短縮)
3.お互いがいかに腕を長くした状態かつ一瞬で受け渡しができるか。(走行距離の短縮)

持ちタイムからリレーのタイムを引いた時間を計算すると、
アメリカ 4人の合計(39秒52)-リレー(37秒62)=1秒90
ジャマイカ 4人の合計(39秒68)-リレー(37秒27)=2秒41
日本 4人の合計(40秒38)-リレー(37秒60)=2秒78

いかに日本チームが時間を短縮できたのかがわかる結果となっています。
さらに予選を戦い終えた時点で同じ走りだとメダルの獲得が困難と判断し、
バトンパス時に次走者が走り出す距離をそれぞれ4分の1足分・半足分遠くしています。

表には見えない僅かな差が、オリンピックという大舞台でのメダルの色、
獲得に大きな影響を与えていたのだと、さらに感動しました。

〜中小企業の採用・育成のヒント〜

個々の能力(走力)を磨き上げ、社会(世界)と戦えるように努力と研鑽を積み重ねることは大前提。
その上でバトンパスをいかに改善できるか。
一人で高めるのに限界がある顧客満足度を、チーム力で2倍にも3倍にもすることは可能です。

仕事におけるバトンパスにはどんなものがあるでしょうか。
仕事の受け渡しの精度、スピード。
何かあった時の対応やプラスアルファの心遣い。
想像していけばたくさん出てくると思います。

お互いを信頼し連携を高め、改善を積み重ねていく。
4分の1足分、半足分の違いが仕事でも大きな差を生むことは明白です。