第64回 やります!と口ばっかりの社員が成果を出せるようになるには?
2022/07/04
「やります!」「頑張ります!」と口ばかりで、全く変わらない社員がいる。どうしたらいいのか・・・。
という相談をよく受けることがあります。
当事者に話を聞くと、なるほどやる気はあります。
さらによく聞いてみると・・・
色々なパターンはありますが『やるべきことが明確にできていない』というパターンが多いです。
どういうことかというと・・・
指示している側は、しっかり教えてもいるし、そもそも当たり前のことを伝えているので(報告してね・わからなければ相談してね・報告書あげてね・などなど)、なんでやらないのか理解ができません。
けれど、指示を受けている側が、それらのことを『言われていることは分かっていても』『行動レベルに明確にできていない』のです。
具体的な行動と、基本である『報連相』のやり方がわからない!という状態、その状態でやる気だけがある!というパターンです。
なので「どうして何度言ってもやらないんだ!」「やりますと自分で言ったのに、なんで何度も注意されるんだ!」と、何度叱っても変わりません。
これでは、指示を出す方も疲れてしまいますし、指示を受ける方も自信がなくなってしまいます。
さて、こんな時、どうしたらいいのでしょうか?
まずは話をよく聴く
話を聴いてみると、その人なりに一生懸命に考えて行動していることが見えてきます。けれど、その努力の方向がズレていたり、求められていることが理解できていないこともあります。だから、外から見て「口だけで何もしない!」と見えています。
そしてこの『その人なりに一生懸命に考えて行動している』という部分を聴けていないから、空回りが起こります。
「なるほど、そう考えて頑張っていたんだね。」と、まずはそこを受容する。そこからやっと対話が始まります。例えば・・・
「それは分かったけれど、仕事は一人でしているわけではないから、〇〇の段階で、報告が上がっていないと、次の人が困って、仕事がどんどん遅れてしまう。この流れはわかる?」
「じゃぁ、その報告の仕方なんだけど、具体的にどんなタイミングで誰に何をどうしたらいいかわかる?」
そうやって、1つ1つを明確にしていくことが大事です・・・なんてことを言うと指示している側は・・・
「いやいやいや・・・
しっかり、何度も教えてます!そんなこと分かっているはずですっ!」
とおっしゃるのですが・・・(気持ちは十分に理解できますが)
同じことを同じように伝えてすぐに理解できる人もいますが、できない人もいるんですね。すぐに理解できる人はいいのですが、できない人の場合は、具体的な確認作業の前に『話をちゃんと聴けているかどうか?』が結果に大きく影響します。
感情を聴いて信頼関係を深める
また、その人なりの努力や理解度だけではなく、どう感じているのか?と言う感情も聴けたらさらにいいです。
その人が感じている『憤り・焦り・不安』などを聴くことができたら、信頼関係が深まります。
なぜなら、そのような感情は、そもそも信頼していなければ話してくれませんし、感情を「理解してくれる人」をさらに信頼するからなのです。
「そう感じているんだね。」と受容しつつ対話を深めてみてください。
そして、最後に具体的な行動を確認しあえれば、次の日から変わります。
「そのくらいわかるだろう!」「そんな当たり前のことまで言わないとダメなのか!」と思う気持ちはよくわかります。
けれど、そのくらいしないと分からない場合もあるのです。
では、その人は能力が低いのか?というとそうではありません。
他の人よりも得意な部分が必ずあります。
そこを見つけて仕事で活かすことができたら、とても素敵ですね。
つい、当たり前のことができなくて手がかかる社員だと『できないやつ認定』をしがちなのですが、人間は誰しも凸凹があります。
できないことは、しっかり対話を深めて信頼関係を構築し、具体的に細かく行動を確認してできるようになってもらう。同時に得意なことを見つけて活かせるようにする。
数年後には、戦力になるだけではなく、後輩から頼られるいい先輩に成長するでしょう。
なぜなら、最初に苦労した人の方が「悩んでいる後輩」の気持ちがわかる先輩になるから。
『ありのままを聴く能力』を磨く!
口ばかり「頑張ります!」「やります!」と言って、全然やらない(変わらない)と『できないやつ認定』してしまいがち。けれど、適切な『関わり方』によって、成長速度は大きく変わります。
「なんで何度言ってもやらないんだっ!」と叱る前に、何度言ってもできない理由はなんだろう?と相手に興味を持って関わってみてください。
しっかり相手のことを『聴く』ことができれば、現実は大きく変わります。
そして、このような相手こそ、自分の『聴く』と言う能力を磨いてくれる最高の相手です。
一人では磨くことができませんから!
『聴く』と言うことは、仕事でも人生でも、とても重要なスキルです。
特に、経営者・リーダー・先生など、人の上に立つ人ほど・・・
そして、世の中『普通』なんて、どこにも存在していません。
だから普通と思うことが、できないから『できない』のではなく、そのことについては人よりも理解が遅いけれど、他のことで得意なことがあるはず。
その人の才能と、どう活かせるか?にフォーカスして関わってみましょう!
きっと世界が広がり、思いがけない成果につながることでしょう。
しかし、このような、ありのままを聴くことや、その人の才能にフォーカスする、と言う関わり方を私たちは誰も『されてきていない』ので、最初は難しく感じるかもしれません。
だから私が外部で関わって、社員との関わり方を見て「同じようになんかできません!」と言われることもあります。
同じことをしなくて大丈夫。人それぞれ『キャラ』があるので、そもそも同じになんてできません。
同じことをする、のではなく。
本質的なこと「自分自身がありのままで在る」「相手の存在をありのまま聴く」そこから対話を深めて信頼関係を築く。それを、それぞれのありのままのキャラで実践してみましょう!
そこから今までとは違う、思いもかけない現実が創られていくことと思います。
なんのリスクもありませんので、ぜひ試してみてくださいね!
私もまだまだ日々『聴くを磨く』を実践中です!