日本人は“型”が好き
第3回で書きました、
無意識でやってしまうベタな方法が、本来の目的に合っているか見直しましょうという話を書きました。
これは日本の教育・研修の風土そのものを見つめ直すということでもあります。
日本人は“型”が好きです。
武道や伝統芸能に代表されるように、型による人材育成の土壌が昔からあります。
これは教育・研修の現場でも同様で、先生が教えていない問題の解き方をしてはいけないとか、研修の冒頭はアイスブレークからといったような“型”を感じたことがあるのではないでしょうか。
多くの先人たちが有効としてきた型を踏襲すれば、失敗も少なくなりますし、安定した授業や研修ができます。しかし、この安定感がデメリットになることがあるのです。
イレギュラーは脳を刺激する
人間の脳は、隙あらば楽をしてエネルギーを節約しようとします。
覚えたての頃は丁寧に手順を確認しながらやっていたことも、慣れてくれば短時間で、あるいは片手間でできるようになりますよね。
授業や研修も、毎回同じような型に沿った構成だと思考がパターン化され、それだけ参加者が受け身の時間が増えていきます。
つまり、参加者自身がアクティブな学びをつくる状態から離れていくのです。
そうならないためには、イレギュラーな、いつもと“違う”状況をつくるのが有効です。
学習の本質は、講師が情報を与えることでなく、参加者が思考を動かすことです。
本連載の第1・2回で書きましたが、いつもと“違う”ことがあると脳が刺激され、思考が動きます。
大きな変化でなくても、グループの人数を変えるとか、机の向きを変えるとか、ちょっとしたことでイレギュラーはつくれます。
ちょっと手間はかかりますが、参加者の思考を動かしたいときは、まず自分がいつも通りの“型”から脱却することから始めてみましょう。