第61回 変革の足を引っ張るのは何なのか?
2022/06/13
私は、さまざまな企業に入って『関係の質を上げることで、自走する組織に変革する』と言うことを実施し、成果を出しています。
そして、これまでの組織運営は、それとは真逆の『理想の形に教育する』と言う運営が主流です。
それが常識すぎて疑う人もいない、くらいの状況。
だから、教育とか改善というレベルではなく『変革』が必要です。
でも、この『変革』するときに、足を引っ張るのは何なのか?
これから、そんなお話をしてみたいと思います。
平均には、強烈な磁力がある!
多くの人は学校時代『ちゃんと校則守りなさい!』『言われた通りやりなさい!』などと、言われ育ってきていますよね?
だから『個性を削られて社会人』になります。
これは高度成長期の時代から教育が変わっていないから。
確かに高度成長期、アメリカに追いつけ追い越せ!の時代には個性云々よりも、言うことをよく聞く『工員タイプ』の人材がたくさん必要でした。
だから、その時代にはあっていたのですが、現代は不透明な時代。
自ら答えを想像し、成果を上げる人材が必要な時代なのです。にもかかわらず、教育が変わっていないので・・・
ある枠組みの中でずっとやっているから、みんな『普通』になるんです。
この普通という『平均』というのは恐ろしい【引力】があります。
必ず、そこに引っ張られちゃう!!
だから『一人一人の個性や強み、ありのままを活かしあって進化し続ける組織にする』という世界では・・・
いかに平均から離れられるか!が、大事なのです。
言い換えると『いかに、一人一人の強みを発揮しあえる組織になるか』ってことです。
そのハーモニーが生まれた時、どんなピンチなことが起こっても、そこから進化できる強い組織になる!ということ。そういう変革を様々な組織で起こしています。
では、具体的にどうしたらいいのか?
マインドセットを変える!
ほっといたら、みんな平均に引っ張られちゃう!周りに合わせる真面目な私になっちゃう!それを、どうしたら変えられるのか?
もっと言うと、どうしたらやる気になるのだろうか?どうしたら継続できるのか?
それらをまとめると『どうやったら自分を変えられるんだろう?』って話です。
そこで、たとえ話を1つ。
イワシの話
水族館でイワシのショーを見たことがありますか?大群であっち行ったりこっち行ったり、群れになって泳ぐイワシです。
こっちで餌をあげると、餌に誘導されて、イワシの群れがビューっと移動する。で、逆サイドで餌をあげると、群れがビューっと移動する。そんなイワシショーで、ある実験をしたそうです。
水槽の真ん中にガラスの壁を入れます。ガラスなので、水中から見ると何もないように見える。
その状態で、餌をあげる。
そうすると、イワシたち「あっちに餌あるぞ!みんな行けー」ってなっていくんだけど、ガラスの壁に頭をガシャガシャってぶつけて餌までいけない。
それを、何度も何度も繰り返していると・・・
ガラスの壁を外しても、餌があっても食べに行かなくなっちゃう。で、食べに行かなくなって、そのうち餓死してしまうのだそうです。それが、イワシの悲しい性なんですって。
そんな悲しいイワシを餓死させないようにするためには、どうしたらいいと思いますか?
ガラスの壁のことを知らない新しいイワシを一匹入れて、食べさせてみるのだそうです。
すると「なんだ、あそこの餌食べられるじゃん!ガラスなんてないじゃん」って言って、みんなも食べにいくようになるそうです。
人間には当てはまらない!
こんな、たとえ話を教訓として、よく『たった一人の人の行動が、社会とか組織がコロって変わることもあるから、あなた一人の行動が無限大なんだ!』などと、言われることがあります。
でも、果たしてそうでしょうか?
『人間はそうはいかないんじゃないか』と思います。
なぜかと言うと、同じように、そこに壁があることを知らない、新しい新人を一人投入してみますよね?
もちろん、その新人は「お!あそこにご飯がある」って食べにいきます。
すると・・・周りにいる人たちは、こんな風に言い出します。
「お前一人だけ、いいかっこするなよ。」
「ここじゃ、そういうふうになってないんだよ。」
そうすると、あそこに餌があるってわかっていても、みんなの顔色を伺って、その人は餌を食べに行かないし、そのグループは餌を食べにいくようにならない。
こうやって、ダメな組織はいつまでたってもダメだというカラクリです。
イワシのような教訓って、一瞬「そうだそうだ!」って耳あたりいいのですが、実際には人間に当てはまらない場合もあるんじゃないかと私は思います。
『知識の注入ではマインドセットって変わりづらい!』のだと実感しているのです。
研修とかセミナーとか本を読んで、知識を注入してもマインドセットは変わらない。
そう!
『周囲との関係性や、経験を通じて、体験の再定義ができてこそ、マインドセットが変わる!』
だから・・・
いくら『関係性の質が大事』とか『報連相が大事』などと、知識で理解できても、現場で、影響力の強い人の顔色を伺っていたり、実際に法蓮相していなかったら、変わらない。
じゃぁ、この思考の枠組みはどうしたら変えられるのか?
それは、一人一人が自分の想いや感覚をありのままに表現しあえ、クリエイティブな対話ができる『関係の質』によって決まるのだと、多くの組織が見せてくれました。
変革の足を引っ張るのは何なのか?
このように『変革』の足を引っ張るのは『普通』『平均』と言う目に見えない雰囲気のようなものなのです。
だから、どんなに素晴らしい知識を学ばせても変革できない。
だって、平均には強烈な磁力が働いていて、変革しようとしても引っ張られちゃから。
だから知識ではなく『関係の質』を変えて、クリエイティブな対話ができるようになる、そこからスタートです。
さて、この話を聞いて、あなたはどう感じましたか?