前回までの50回の内、38回はシェイクスピア戯曲37作品の主要登場人物のレジリエンスとシェイクスピア自身のレジリエンスについて分析してきました。
今回からは、「経営者のレジリエンス」というタイトルで何回か書いてみたいと思います。
ここでの「経営者」とは個人事業主を含みます。
第一回目は「命のはなし」と題して経営者と命のことについてエッセイを書いてみます。
たまたま私自身も31年間、個人経営からスタートして小さな会社を経営してきて実感していることがあります。
経営者としてもっとも大切なことは自分の命をおろそかにしてはいけない、ということです。
経営はうまくいくことが10個あれば、うまくいかないことは90個あるのが普通でしょう。
これを実感できるのは経営者のみです。
経営者は、日々資金繰りや受注先開拓に追われ、従業員の幸せをもっと高めるために悩んでいることでしょう。
ましてや雇われ経営者でなく、自分の資産を担保にして銀行などの融資を受けている人にとっては毎日が深刻な悩みの連続といってもよいかもしれません。
それ以前に、従業員がどんどん辞めてしまい仕事が回らないといったことや、それに類した経験をしていらっしゃる経営者はわたし一人ではないはずです。
人間誰でも、追いつめられる時があります。
そうした時に、自分の命を絶ってしまいたいと考えたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私は31年前に事業を始めてからはそうしたことはありませんでしたが、若い頃、そうですね40年以上前はその一歩手前まで行きました。
ですからそういう心境は少し分かるのです。
事業をはじめてから、どのような苦境に陥っても命まで奪われることはあるまい、と開き直りました。
たとえ財産をすべて失い、借金返済が出来ないなどがあって事業上の信頼を失ったとしても、それで命まで取られることはない、ということです。
事業環境は会社ごとに異なります。
こうした不安定な時代にも大成功している会社もあれば、倒産の危機に瀕している会社もたくさんあります。
そうした環境下だからこそ皆様には、経営者としてのレジリエンス~折れない心~を発揮して欲しいのです。
どんなに経済的に苦しくとも、自分の命まで他人に持っていかれることはない。
命があれば、どんなやり直しもできるんだという開き直りをもっていただきたいのです。
命は先祖から連綿と続いてきたものです。
経営者としての矜持はまずご自分の命を大切にする、それだけでよいのではないでしょうか。
次回は「経営者のレジリエンス(2)命の使い方」について考えてみたいと思います。
レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。
toshiro@miyamacg.com (筆者:深山 敏郎)
株式会社ミヤマコンサルティンググループ