ある飲食チェーンで「社員を中心に離職が止まらない状況にあるのをなんとかしてほしい」との相談を頂きました。
このチェーンでは、業態ブランドの人気が高く、各店舗の売上は順調に伸びている中、スタッフの離職防止が今後の拡大における大きな課題になっていました。
社長より頂いた依頼は、社員・アルバイトが辞めないで育つ人事の仕組み作りをお願いしたいとのことでした。
離職の理由が変化してきている
お客様から離職防止の相談を頂いた時、最初に行うことは現状調査として、幹部や現場スタッフの面談とチーム力診断です。
面談は社長や担当者から指定された人を対象にできるだけ全店舗の人と実施していきます。
チーム力診断は、弊社が独自に開発してきたチーム状態を確認するツールで、現場スタッフからの匿名のアンケート調査です。
離職の原因と課題が数値の状態を通じて一目でわかるようにするツールです。
この2つの現状調査を実施することで見えてくる離職の原因と課題はコロナ前、中心にあったのは人間関係でした。
上司と部下、先輩と後輩、新人と既存スタッフといった人たちの間における人間関係が圧倒的に離職の理由になっていました。
コロナを明けてくる中で、新たに相談が増えてきている離職防止の対応。
今調査すると中心にあるのは余裕がない環境でした。
コロナが明けて、営業が本番になる中、人不足の深刻さはコロナ前を上回る状況になってきています。
社員、アルバイト共に採用することが超難しい時代に突入しつつあります。
しかもこの人不足の問題は、一時のブーム的なものではなく、今後この人不足が常態化していく時代のシフト的な状況になっています。
原因の中心にあるのは、少子高齢化による働く世代人口の減少です。
そういった状況の中、もう一つ厄介な問題が起きています。
売上がもとに戻らないことです。
コロナ前と環境が大きく変わりました。
特に夜が売上の中心であった業態ほど、売上計画に対する見直しが必要になっています。
コロナ前は団体や企業関係者が多く、2軒目需要もあり2回転、3回転できる環境がありました。
コロナによってこれらの需要がなくなってしまいました。
しかもなかなか戻らない状況です。
そういった中で抑える必要があるのが人件費になってきているのです。
人を減らして、なんとか減った分の売上で賄える体制を作ろうとしています。
しかし、この取り組みをすることで起きている問題が、一人一人のスタッフの時間的拘束を中心とした余裕ない環境です。
余裕のない環境で働き続けることで、体力的にも精神的にも疲労がたまっていき、やがて限界を迎え、外に目を向けるようになっていくのです。
この負のスパイラル現象が、今飲食店で多数みられています。
コロナを通じて生まれた市場環境の変化、コロナ前から進行していた人不足時代へのシフト、この2つのダブルパンチにより、今飲食店は究極の選択を迫られています。
経営を続けていくのか?辞めるのか?
もし続けていきたい場合は、一番大切にしていく必要があるのは、まず社員、アルバイトが働き続けたいと思える余裕ある環境作りであると捉えています。
それくらい一度失った人の穴を埋めることが難しい時代になっています。
人を今まで以上に大切にし、その上で売上を新たな市場の中で確保していくこと。
この2つを優先順位を大切にしながら進めていくことが今求められています。
☆今日の質問☆
あなたの組織ではスタッフは余裕を感じながら仕事ができていますか?