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岩田 徹

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第58回 おじいちゃんのために

2022/01/21

正月恒例の箱根駅伝。
東洋大学で10区アンカーを努めた清野太雅選手。
中継地点でタスキを待つ清野選手の左腕には東洋大学のテーマである、
「その1秒をけずり出せ」が黒いマジックで書き記されていました。
そして右腕に内側には、「おじいちゃんの為に」と記されていました。

1月3日にアンカーを走った清野選手。
実はその2日前の元旦に、
箱根駅伝を目指すきっかけを与えてくれた御祖父様が亡くなられたそうです。
昨年も東洋大学でアンカーを務め、区間9位で総合3位を死守した清野選手。
清野選手の走りを故郷で嬉しく見つめていた御祖父様。
「来年も10区で頑張ってくれ!」と伝えていたそうで、
今年もきっと楽しみにしていたことでしょう。

東洋大学の酒井監督は元旦に暗い表情の清野選手に気づき話しかけたところ、
御祖父様が亡くなられたことを涙ながらに伝えられたそうです。
あまりの落ち込みように、
精神的に走れる状態でなければアンカーを変更しようとも考えたそうですが、
「おじいちゃんのために走ろう。きっと見てくれている。その姿を見てもらおう。」
と二人で話し合い、メンバー変更することなくアンカーを任せました。

「おじいちゃんのために」と右腕の見えるところに書き、
おじいちゃんを思い続けて走り続けたようです。
後方から監督車で見守る酒井監督も、
「いい報告をしよう!」と声をかけていました。
7位でスタートした清野選手ですが、
区間2位の力走を見せ、3位の駒澤大学に2秒差の総合4位でゴール。

「人のために、家族のために走る気力を後ろから見せてもらった。」
と、ゴール後に話した酒井監督。
「おじいちゃんが背中を押してくれた。
走る姿をきっと見ていてくれたはず。」と答えた清野選手。
日々の練習の成果を本番で発揮した清野選手ですが、
おじいちゃんのために、
と気持ちを乗せて走り切った姿に感動せずにはいられませんでした。

〜中小企業の採用・育成のヒント〜

自分のために頑張り続けることは確かに力を発揮しますが、
どこかで限界があることもまた事実です。
人のために、誰かのために、社会のために、
と、自分以外のところに強い目的意識ができた時、
人は思いもよらぬ力を発揮することがあります。

自社の事業は、自分の仕事は何のためにあるのか。
何を目的に事業活動、仕事をしているのか。
今一度、見つめ直していきたいと感じる箱根駅伝でした。