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星 寿美

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第37回 自然に身に付く行動指針とは?

2021/12/26

中小企業でも、行動指針を作っている企業が増えてきました。
が、機能しているでしょうか?
もちろん機能している企業は素晴らしい!
そのままぜひ続けて成長し続けてほしいです。

今日の記事は「行動指針、作ったはいいけれど浸透できていない。」と悩む経営者の方に向けて書いています。

行動指針も、そして一時期、リッツカールトンの事例で流行った『クレド』なども、内容はもちろん素晴らしいのですが、作った後、形骸化していたり、機能できているかどうかは企業によって様々です。

いくら立派な行動指針やクレドを作成しても、それが実践できていなければもったいないですよね?

そこで、社員一人一人が自然に身に付く行動指針について説明したいと思います。

『たった一つ』が強烈で「やらされ感」もない

私が関わらせていただく企業では『理念』『ビジョン』『たった一つのルール』を作ります。
すでに作ってある企業でも、見直しをおこないます。

社員が5〜20名ほどの企業では社員全員参加で、社員が多い企業ではリーダー以上全員参加で作ります。

理念とビジョンが同じだったり、理念とビジョンとたった一つのルールが同じになる場合もあるので、必ずしも3つとは限りませんが、本当にその企業が大切にしている理念・ビジョンを言語化し、そこから『たった一つのルール』を作ります。

この『たった一つのルール』こそが、行動指針です。

人は行動をするときの指針がいくつもあると大変です。たった一つだからこそ、強烈なのです。

「強烈なのはわかるけれど、一つで大丈夫?」という声が聞こえてきそうですね。
答えは「はい!大丈夫です!」

一つだからこそ、その一つに合っていれば○、そぐわなければ×。
社員一人一人がそのルールに照らし合わせたときにどうか?
を、自分で考えるようになるからです。

いくつもあると、その中で行動しないといけないという閉塞感や、レールに乗っかっている感が生まれる可能性がありますが。

たった一つのルールしかないと、そのルールに則っているかどうかを判断するのは一人一人だし、則ってさえいればいいので、アイデアも広がりクリエイティブな風土も育ちます。

これからは答えのない時代です。
だからこそ、一人一人が答えを創造していける風土がますます大事な時代、ですよね?
『たった一つのルール』は、そんな風土作りにも一役買っています。

『たった一つのルール』とは?

私が最初にこの『たった一つのルール』に着想を得たのは、息子が小さいときに行っていた近所の公園(プレーパーク)です。

プレーパーク、という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
デンマークで1865年からある公園で、ヨーロッパを中心に冒険遊び場として広まっていました。
この公園を知った日本人のご夫妻が最初に世田谷区で始め、1979年には世田谷区に日本初の常設「羽根木プレーパーク」が誕生したのです。
ここから草の根的に広がり、現在では全国にプレーパークがあります。

私はプレーパークに魅せられて、当時幼かった幼い息子と「羽根木プレーパーク」のすぐそばに家を借りました。
プレーパークは森の中で、何をして遊んでもいい場所です。

どんなに高い木に登ろうが、どんな深い穴を掘ろうが、水を流そうが、屋根に登ろうが、なんでもいいのです。
しかも『火』も自由に使えます。工具も揃っています。

おかげさまで息子は、私の思惑通り、毎日真っ黒になって遊び、木登りが大好きな子でした。
都会の片隅で、こんな子育てができて大満足です!と話はそれましたが・・・

このプレーパーク、危険がいっぱい!
にも関わらず、ルールがたった一つしかありません。

『自分の責任で自由に遊ぶ!』

たったこれだけ。
自由だけれど、怪我しても何があっても自分の責任。
自由と責任を自然に学べる場でもあったのです。

(ぜひ羽根木プレーパークでぜひ画像検索してみてくださいね!)
 
この価値観に共感した親が集まるので、多少怪我しても、服を泥だらけにしても問題は起こりません。
たった一つのルールって、ものすごい威力だなぁと感じていました。

さて、時が流れて息子も大きくなり、今から11年前に会社を設立しました。
中小企業で自走組織を育成し、ゴールツリー会議をやらせていただく中で、この『たった一つのルール』を取り入れたところ、社員が一つにまとまり、自走するチームになる、大きな要因だと実感するようになりました。

例えば、あるデザイン会社の例です。
社員全員でたった一つのルールを作りました。
それが『我々は一流のクリエイターだ!』というルール。

『一流である』というルールに則っていれば○、則っていなければ×。

例えば、会社より自宅の方がパフォーマンスが出せる社員は自宅勤務可。
勤務中に美術館などに行くのも○。
これらはまだコロナが流行る前のことです。

「サボる人も出てくるのでは?」と思いますよね?
心配ご無用です。

本当に「自分たちは一流なんだ!」ということに誇りを感じている人数が多ければ、数名の「9時5時仕事してお給料だけ貰いたい」という人がいても、
そういう人たちが周りに影響されて成長するか、もしくは居心地が悪くなって自ら辞めるか、どちらかだからです。

そして、この価値観に共感するやる気のある人が入社してきます。
本当に『たった一つ』は強烈でやらされ感がないのです。

他にも様々な業種の企業で、この『たった一つのルール』を採用しています。
このルールを決める、そのプロセスも、チームがまとまったり、そもそも本当に大事にしていることは何だろう?と再確認できるいい時間となります。

行動指針を『たった一つのルール』として試してみるのはいかがでしょうか?