年末の繁忙期、飲食業界では売上が最も期待されるタイミングですが、「丸亀製麺」は「12月24日ディナー休業」を発表しました。
背景にあるのは、同社が掲げる「心的資本経営」という新たな人材戦略です。
これは単なる福利厚生ではなく、従業員とその家族の“心の豊かさ”を経営資本と捉える姿勢であり、多くの注目を集めています。
同社はこれまでも、工場効率を優先するチェーン業界の常識に反し、店舗ごとの手打ち製麺を守るなど、「非効率さ」を価値に変えてきました。
「KANDO(感動)」というキーワードを軸に、顧客体験を最大化する経営手法は、最終的に人材の熱量に帰結します。従業員が満たされなければ、顧客に“感動”を提供することはできません。
その思想が、今回の「家族と過ごす特別な夜に休業する」という決断に結実しているのです。
X(旧Twitter)には「素晴らしい会社」「従業員を大切にする姿勢が伝わる」といった好意的な声が並び、企業イメージの向上にもつながっています。
現在、外食業界では人手不足が常態化しており、働き方改革が急務となっています。
こうした取り組みは、定着率や採用競争力を高める一手にもなるでしょう。
「従業員ファースト」の姿勢は、いまや企業の競争優位を生む重要な要素です。
丸亀製麺の試みは、利益至上から“心の資本”へと軸足を移す、経営の新しい潮流を象徴しているのであります。