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長谷川 満

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第52回 なぜ企業は手間のかかる新卒採用をあえて行うのか?

2021/12/08

人事の仕事をしていると当然ですが、
「人」に関する相談が日々舞い込んできます。

先日も、ある経営者から
「新卒採用をしても育成するのに時間がかかる」
というお話を聞きました。

この手の悩みは、
おそらく多くの経営者が
日常感じていることだろうと思います。

ただし、先ほどのようなことを言う
経営者(会社)には、
大きく分けて2種類あります。

それは、
1.現在、すでに新卒採用を行っている会社が
口にするぼやき

2.まだ新卒採用をしたことがないか、
あっても縁故採用などに限られる会社

の2タイプです。

実はこれはそれぞれの会社が現在、
どのような状態にあるのかを
如実に物語っています。

まず、最初の1についてですが、
このタイプの会社は、何はともあれ
「すでに新卒採用を行なっている会社」
ということになります。

たとえグチを言っていても、
少なくとも新卒採用を行う
「メリット・デメリットの双方を
知った上で人材採用している」
ということです。

少なくとも最低限
「会社に新卒採用を
するだけの体制が整っている」
ということを表しています。

問題は2の方です。

そもそも、なぜこのタイプの会社は
新卒採用をしてもいないのに、
「新卒社員は育てるのに時間がかかる」
と言うのでしょうか?

それは、
「うちは即戦力がほしい」
という言い訳に使っているからです。

つまり、2のタイプの会社は
「戦略的に新卒採用をしたことがない」
会社であり、当然
「社内に新卒採用するだけの体制が整っていない」
ということを意味しているのです。

確かに「即戦力の人材が欲しい」
という言葉は、労働市場ではよく耳にします。

けれど私は、
実はこれが
「その会社が大きくなれない理由」
なのだと思っています。

どういうことかというと、
自社内に人材を育てる仕組みを持たず、
「即戦力人材が入社して、
業績貢献してくれることを期待している」
からです。

シンプルに、夢を見すぎているのです。

人材育成にしても同じことで、
「即戦力に期待」している企業は、
「社内に仕組みができていない」
ものです。

なので、短期的な視点で、
採用できもしない即戦力人材に
期待するのではなく、

中長期的な視点で、新卒採用で、
学生さんに魅力ある会社づくりをしつつ
新卒社員のような
育てていく必要がある人材を
人材育成していく体制をつくっていけば、

会社の理念やビジョンなどに沿った会社づくり
ができるものです!