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星 寿美

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第26回 マネジメントのために褒めなくても良い

2021/10/10

人に対して『いいな!と感じていること』を伝えたい!という純粋な想いなら、それは、とても素敵なことです。
『マネジメントに必要だから褒めるべき。』と感じていらっしゃるのでれば、この記事は、一読の価値があるかと思います。

人を褒めることを自然にできる方と、苦手な方がいらっしゃいます。苦手な方は、人を褒めなくて大丈夫です!

苦手なことなのに、それをしようとする、その根底には「人に動いてもらうため」という想いがあります。

その根底の想いが伝わってしまい、せっかく苦手なことに取り組んでも悪循環に陥るケースを多くみてきました。

逆に、全く人を褒めていないのに、社員たちから信頼され組織をまとめている経営者も多くみてきました。

結局、社員たちには、経営者の『在り方』そのものが伝わります。
だから、人を動かすために、マネジメントに必要だからという理由で、苦手なことをしなくていいのです。

では、何をしたらいいのでしょうか?

ありのままで関わること

経営者自身が、ありのままで関わることが大事です。
経営者だから弱みを見せられない、と気張る必要はありません。

中には、
「いやいや、経営者たるもの、弱音なんて言いたくない!」という方がいらっしゃいます。

その気持ちが『ありのまま』ですから「私は弱音は言わない!」を言うなり実行するなりすればいいのです。

『弱みを見せる』ことと『弱音を言う』ことは違います。

『弱みを見せる』とは。
経営者自身が苦手なことや、不安(リスク)に感じていることを、伝えて相談することです。
それは、目標に向かうために必要、かつ前向きで建設的なことなのです。

『弱音を言う』とは。
後ろ向きで建設的ではないことなので、近しい方や信頼できる方にだけ話せばいいかと思います。

そして『ありのまま』とは、経営者自身の本音(ビジョンや信念)を語ることです。
その本音に人が巻き込まれていきます。

ありのままの本音(ビジョンや信念)と行動が一致していれば、社員から信頼されます。
言動一致していることです。

その想いや考え方が『本音(ありのまま)』であれば、自然と行動が伴います。
だから信頼されます。非常にシンプルです。

時には、間違えたり弱く見えたりなどの人間臭さが見えても大丈夫。そういう『ありのまま』の姿も信頼の元になります。
『経営者だから弱みを見せたくない!』と隠そうとしても、実はバレています。
隠そうとしてバレていることの方がカッコ悪いですよね。

ですから、安心して、堂々と、自分らしくある!と言うことが、本当に大事です。

褒める・叱ると言う表面的なことは関係なく、経営者自身の『あり方』そのもの、人間性が伝わるだけですから。

それが、経営者の器以上に会社は大きくならない、と言われる理由の一つでもあると私は感じています。

経営者だけではなく、上に立つものは、周りの人たちのおかげで、どんどん成長し人間性が磨かれていきます。
人間性が磨かれていくためにも『ありのまま』であることが大事なのです。

相手をありのまま受容すること

さて、自分自身が『ありのまま』であれば、人のことも『ありのまま』受容することができます。

ここに関しては順番が重要です。
自分がありのままではないのに、人をありのまま受容することはできないからです。

自分の価値観や想いを、自分が本当に大切にし、重要に感じ(尊重し)、表現しているからこそ、(自分とは違う)他の人の価値観や想いを・・・

「そうなんだね。(自分とは違うけれど、あなたにとって重要なのだね。)」

と受容できるからです。

ありのままを受容する、とは。
違う考えを受け入れたり、理解することではありません。
ただ「あなたはそうなのですね。」と、ありのままをただ受け入れること。
内容を受け入れるのではなく、ただ、ありのままを受け入れることなのです。

人は、誰もが『自分のありのままを受け入れてくれる人』を信頼します。
内容に対しては受け入れていなくても理解できなくても問題はないし、逆にそのほうが第三の面白い発想につながったりすることもあります。

理解し難い価値観を受け入れなくていい。
それより「あなたは、その価値観を大事にしているんだね」と受容することが大切なことなのですが・・・

ここを一緒くたにして、人を否定したり、考えを押し付けたりして、信頼関係を築けない方もいらっしゃいます。

まず、経営者(上に立つもの)自身が、ありのままの自分の価値観、想いを大切にして表現する。
すると、相手の価値観、想いも(自分とは違っても)ありのまま受容できる。
そこから信頼関係を築くことができます。

ビジョンに巻き込むことが経営者の仕事

さて、最初に『苦手なのに人を褒めようとする、その根底には「人に動いてもらうため」という想いがあります。』と書きました。

気持ちよく人に動いてもらうために、人を褒めるなどの表面的な手法をどうにかしようとするよりも、ずっと効果絶大な方法があります。

それは、経営者自身の『在り方そのもの』で『この人についていきたい!』『この人の役にお立ちたい!』と感じてもらうことです。

もちろん、カリスマになると言うことではありません。

カリスマは危険です。言葉は非常に悪いのですが、一種の洗脳状態に近いのではないかと思います。
依存させている関係になりやすいのです。

依存ではなく、同志に近い感覚でしょうか?
『一緒にビジョンに向かいたい。』と感じている、と言うことです。

だから、変に高いエネルギーをキープする必要もないし、かっこいい部分だけを魅せ続ける必要もありません。

ありのままの想いや価値観を、ありのままの態度で表現し、言動一致していればいい、と言うこと。
本当にシンプルなのです。

すると、Yesマンだけではなく、多種多様な人が集まってきます。
多種多様な価値観の、多種多様な性格の人たちと信頼関係を築き、共にビジョンを歩めます。
その組織は、進化に強い組織となるでしょう。

そのために、まずは自分自身が『〜するべき』と言う想いを捨てて、ありのままの自分は『どう在りたいのか?』や『想いや価値観』を明確にする必要があります。
経営者自身が『ありのまま』で言動一致していることが、どんな時代も進化し続ける強い組織の土台です。