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高松 秀樹

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第285回:大組織の先に見えた、AIソロプレナーという選択

2026/05/30

「イオン」が5月29日から、「完全養殖ウナギのかば焼き」をオンラインで試験販売します。卵から人工ふ化させ、成魚まで育てた完全養殖ウナギの一般販売は「世界初」とされ、数量限定で消費者の反応を確かめる取り組みです。

今回の価格は、1尾131グラムで4,860円、204グラムで5,940円。一般的なスーパーのうなぎ蒲焼と比べると、かなり高価格帯に映ります。家族の夕食に気軽に並べるというより、まずはギフトや特別な日の一品に近い存在です。だからこそ、このニュースを「高すぎて買えない商品」とだけ見るのは惜しい気がします。多くの技術は、最初は小ロットで、手間もコストもかかります。そこから生産工程が磨かれ、需要が見え、供給網が整うことで、少しずつ社会に近づいていきます。

ウナギは長く天然のシラスウナギに依存してきました。完全養殖が広がれば、資源保護や安定供給、密漁リスクの低減にもつながる可能性があります。さらに、人工ふ化、幼生飼育、水質管理、餌の設計といった知見は、他の高級魚や水産資源にも応用され得ます。これは一企業の商品開発にとどまらず、日本の水産技術を次の産業へ育てる試金石でもあります。

大手小売の役割は、完成された商品を売るだけではありません。まだ高価で未成熟な技術を、生活者との接点に乗せることも重要です。今回の一尾は、今はぜいたく品かもしれません。しかし、数年後の「手が届く選択肢」につながる初めの一歩だと考えれば、価格の向こうに見える景色は少し違ってきます。期待したいのは、ウナギそのものだけでなく、未来の食を育てる産業の力です。

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