第11回 人をやる気にさせる3つの極意
2021/06/27
「社員のやる気を引き出してほしい!」「能動型人材にしてほしい!」などの相談をよく受けます。
例えば、
「ちゃんと、その社員の話を聞いてあげたり、個別面談なども実施しているのに、なかなか難しいんですよ。どうしたら『やる気』にさせることができますか?」
「どう社員を扱ったらいいのか、もうわからない!社員がやる気になる、褒め方、叱り方、教えてください!」
など、切実な相談をよく受けます。そこで、私が実践して、効果絶大の極意をお伝えします。
やる気の要素は、3つの『感』
1.ありのままを認められている『安心感』
2.自発的に決めたことをしている『実感』
3.いい関係性の中にいる!と言う『体感』
このことは、私が50社以上と関わって結果を出したプロセスから抽出したものです。
ポイントは外側からのアプローチではない、と言うことです。
一つずつ説明します。
1.ありのままを認められている『安心感』
人は関係性の中で育ちます。
だから『関係性の質をあげる』ことがまず必要。
その元になるのが、この、ありのままを認められている『安心感』です。
実は、難しいことではないんですよ。
例えば、社員が、意見や相談など、何か言ってきた時に。
意見を聞いて、相容れない意見だからと「それは違う」「こうだろう!」などというのではなく。
「そうなんだね。」とまず受け止める。
それだけで、結果が変わることが多いです。
この「そうなんだね」というのは非常に便利な言葉です。
(自分とは全く違う意見だけれど、あなたは)そうなんだね。
(先々はきっと変わると思うけれど、今は)そうなんだね。
などと。
相手の意見と合わない時でも、心から言える言葉が「そうなんだね。」なのです。
相手は「そうなんだね。」と言ってくれると、安心します。
その後で、自分の意見を伝えればいいのです。
しかし、多くの場合は、受け入れる前に、自分の意見を言ってしまうので、相手が聞けない状態のままのことが多いです。
「そうなんだね。」とまずは、ありのままを受け入れる習慣を身につけるだけで、その後の結果が大きく変わります。
このことは、ほんの一例ですが、難しいことではないですよね?
2.自発的に決めたことをしている『実感』
やらされ感で動くのは辛いもの。
自ら決めたことを自分の選択で動いているという感覚の方が能動的になれます。
もちろん、業務上必要な行動は指示命令する必要がありますが、成長して欲しいことなど・・・例えば、整理整頓してほしいとか、必要な本を読んで欲しいとか、元気な挨拶をしてほしい、などのときに。
「整理整頓しましょう!」「必要だから本を読むように!」などと言うよりは。
対話の中で、相手からその言葉を引き出したほうが効果的です。
さも本人が自分で気づいて、自分で決めたと思ってもらうことが肝心です。
例えば、
「課題とか困っていることある?」などの質問から。
「なるほど」「そうなんだね。」と受容しながら聴き続けて。
一緒になって考えて続ける対話を通じて、
「じゃぁ、どうしたらいいと思う?」と投げると、
「効率悪いから、まずは机の上を整理するよ。」などと、本人が自ら言語化できます。
それを言わせようとして対話をするのは逆効果なのですが(人は、コントロールされることに敏感なので)、ただありのままを受容し続け、一緒に考えるスタンスで聴き続けると、相手の中から答えが生まれます。
最初は難しく感じるかもしれませんが、要は習慣です。このような対話が自然にできるようになると、信頼関係も育ちます。
3.いい関係性の中にいる!と言う『体感』
人間には「貢献したい!」「役に立ちたい!」という気持ちが備わっています。
そして、喜んでもらえると嬉しいって感じるのです。
この、元々ある「貢献したい!」「役に立ちたい!」を引き出すために、関係の質をあげることは効果絶大です。
関係が良ければ、お互いに貢献しあって相乗効果が生まれます。
関係が悪ければ、何もしないようにして、事なかれ主義になります。
事なかれ主義は衰退の第一歩です。
また関係性において、よく聞かれる「褒め方」「叱り方」ですが、そういう表面的なことをどうにかしようとしても逆効果です。
「この場合は、こうする。」のようなフォーマットに個々の個性が当てはまらない場合が多いからです。
特に現代は多種多様な価値観、多様性の時代です。
だから、
「褒め方」「叱り方」でコントロールしようとするのではなく、そもそもの『関係性の質』を上げることがとても重要です。
それは『ありのままを受容する』ことが土台です。
それから、よく熱血教師のように「本気で関わることで人を変える!」と情熱的アプローチをされる方もいます。
もちろんそれは好きなだけしていただいていいのですが。
ただ、その感性が合う方には効果的ですが、合わない方には辛いと感じるアプローチになりうるのです。
最初から『熱血な世界』が好きな人財を集めて実践するのであれば、とても効果的だと思いますし、その成功例も知っています。
(社風が明確であれば、合う人が集まるので相乗効果が起こりやすい。)
けれど、熱血をウリにしていない組織で、熱血を取り入れる場合、合う人にはいいけれど、合わない人は、情熱や本気を押し付けられるほど冷めていく場合が多いのです。
大人数をまとめて動かす場合に、熱血アプローチが有効な場合がありますが、感性があわず陰で辛い思いをしている人がいる場合もあります。
だから『多種多様な人財を活かす!』と言う観点から見ると、一人の情熱で引っ張ろうとしても難しいのです。
もし、多種多様な人財を活かしたければ、
『ありのままを受容しあって、相乗効果を生む環境を整えること。』
この概念は、今までの教育にはない概念なので、最初は戸惑うかもしれませんが、実践する価値は十分あります。
今日書いたことは、そのほんの入り口にすぎません。けれど、ここに書かれていることを実践するだけで、効果絶大です。
・相容れない意見でも「そうなんだね。」とまず受け入れてみる。
・ありのままを聴き続けることで、本人の中にある答えの言語化をお手伝いする。
それらを実践してみて、その効果を感じてみてくださいね!