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岩田 徹

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第221回 不調時の過ごし方

2025/03/14

サッカー日本代表の遠藤航選手。
長年代表に選ばれ続け、そのリーダーシップから現在は主将を務めています。
Jリーグで活躍しヨーロッパへ移籍。
体格で劣りながらも、屈強な選手に当たり負けしないプレーで、
1対1の勝負でボールを奪うデュエルの勝利数でリーグトップを記録するなど、
ドイツのブンデスリーグでも存在感を示していました。
そしてその活躍が認められ、イングランドのプレミアリーグへの移籍が実現しました。
しかも移籍したチームはリバプールという、世界屈指のクラブです。
世界のトップクラスの選手の中のトップの選手が移籍するようなチームです。
その面々は各国の代表選手ばかり。
そんなチームに移籍して試合に出ることができるのか、と不安視されながらも、
移籍初年度のシーズン中盤から大きな存在感を示し、
終盤戦に向けてレギュラーを確保しました。
しかし今シーズンに向けて監督が変わり、
同ポジションにヨーロッパ強豪国の代表選手が移籍してくるなど、
遠藤選手のチーム内での序列が変わりました。

今シーズン、遠藤選手の出場時間は激減し、出場したとしても後半の最後の最後。
時間を消化させ勝利を確定させるための戦術的交代が中心となりました。
ベンチ入りはできるが試合には出場させてもらえない。
出場したとしても緊迫の場面ではなく、時間消化のための出場。
通常の人間であれば腐ってしまうでしょうし、不満も言いたくなると思います。
そんな状況でマスコミからの取材を受けた遠藤選手。
自分のチーム内での序列に不満はないのか。
出場機会を求めて他チームに移籍しないのか。
どういう気持ちで普段の練習や試合に臨んでいるのか。
忖度のない、鋭い質問を受けていました。
こうした質問に遠藤選手は、
「困った時にチームを助けるのが自分の仕事であり、役割。
それはどんな時も変わらない。
機会をもらった時にチームを助けることができるか。
そのために最善の準備を怠らず、日々の練習にも取り組んでいる。
自分はチーム内での役割を認識している。そして監督もそれを理解している。
だからやるべきことはいつも変わらない。」
胸を張って回答していました。

日本代表の主将であり、長年ヨーロッパで活躍してきたプライドもあるでしょう。
ましてや昨年はレギュラーとして出場していたにも関わらず、
監督が変わった途端に使われなくなる。
周囲が見ても明らかに冷遇されている。
そんな状況下でも腐らず、チームを最優先に考えて自分の役割を全うする。
自分がその立場であれば腐るでしょうし、
監督への不満が一杯で練習にも身が入らないかもしれません。
ですが、遠藤選手は常にベストを尽くし、限られた出場時間の中でチームに貢献しています。
遠藤選手としては不本意だとは思いますが、その直向きなプレーや、
不満を一切漏らさずに自分に矢印を向けて努力する姿は素晴らしいですし、尊敬します。

スポーツの世界だけでなく、ビジネスの世界や日常生活においても、
うまくいかない時、不調な時はあります。
この不調時の過ごし方がいかに大切か、改めて実感している今日この頃です。