第8回 自然にリーダーが育つ仕組みを作る
2021/06/06
これからの時代は『関係の質を上げながらチームで成果を出す!』そんなリーダーが求められています。
それは『関係の質(信頼関係)』が土台にあり、その上で、リーダーも、またチームの一人一人も、それぞれの性格や得意を活かし、触発し合いながら成長し続ける、ということです。
今までの時代(安定期や高度成長期)は、理想のリーダー像が何タイプかあり、その理想の形になるように教育していました。
しかし、この不透明な時代。
理想のリーダーになって、チームを引っ張ったり・まとめたり・フォローしたりするだけでは、成果を出し続けることが難しい時代に、もうとっくに入っています。
これからは、リーダーが自然と育ち、かつ、全員がリーダーとなりうるような組織づくりが求められています。
その一つの例として『渡り鳥経営』があります。
知っている方も多いかもしれませんね!
渡り鳥経営とは?
渡り鳥は1羽では弱くて海を渡れないそうです。
だからV字型になって、チームで海を渡ります。
V字の一番前を飛ぶ鳥がリーダーです。
リーダーは先陣きって飛ぶので空気抵抗を一番受けるし、ついていく目標がない中で飛ばなくてはいけません。
だから、チームの中で一番元気な鳥がリーダーになるそうです。
そして、リーダーの後ろを飛ぶ鳥たちは、声を出してリーダーを鼓舞します。
途中で、リーダーが疲れると自然に後ろに下がり、その時に一番元気な鳥が先頭に移動してリーダーになるのだそうです。
また、そのリーダーが疲れると後ろに下がり、その時に一番元気な鳥が前へ。
そんなことを繰り返し、渡り鳥たちに海を渡るといいます。
また、力がなく弱い鳥は後ろの方にいて、空気抵抗が少ないところにいます。
しかし、どんなに弱い鳥でも、おんぶされることなく、自分で飛んでいます。
このような渡り鳥の習性をなぞり。
・誰もがリーダーとなりうる。
・一人一人が自立し、同じ目標に向かい目標を達成する。
そんな経営を『渡り鳥経営』と呼んでいるようです。
では、具体的にどうしたらそんな状態にできるのでしょうか?
方法はいくつもあるかもしれません。
ここでは私が実践し、50社以上の成果を出した方法をご紹介します。
ゴールツリー会議でリーダーが自然に育つ!
たくさんの会議手法がありますが、どんなに素晴らしい会議も、ただ実施するだけでは、なかなか成果が出づらいでしょう。
会議を行う前に、組織の関係性を整える必要があります。
ありのままを受容し合う関係の質を上げることです。
人間関係がギクシャクしていたら、そこをまず根本解決します。
その方法もありますが、別記事に詳しく書きます。
組織の関係が温まってから、会議を実施します。
私はこの会議を「ゴールツリー会議」と呼んでいます。
具体的にどんな会議なのか説明します。
社員が15名くらいまででしたら全員で。大きな組織でしたらリーダー全員が参加します。
ゴールツリー会議5つのステップ
①会議に入る前に、思考の枠が外れるようなゲームを全員で行います。
ここで笑いが起こり、頭も体も緩めます。
ただのアイスブレークではなく、思考の枠組みを外すことが目的です。
②経営者が1年後2年後3年後5年後10年後の数値目標を伝えます。
そのビジョンや根拠なども伝えます。
③参加者全員で、数値目標を達成するためのアイデアをポストイットを使って出し、発表します。
この時のアイデアは、実現不可能なことでもOKです。
突拍子もないアイデアが出た方がいいくらいです。
④2分割法で、本当に取り組むべきアイデアを精査します。
さらに優先順位をつけます。
精査し、優先順位をつけたアイデアを実行したら数値目標が達成されることを全員が同意します。
抜け漏れをここで確認します。
⑤そのアイデアをプロジェクトにして、それぞれリーダーを決めます。
ここで言うリーダーは『進捗係』と言う意味です。
リーダーはプロジェクトを一人ではなく、必ずメンバーを集めてチームで遂行します。
会議当日はこの5ステップですが、実はこの後の方が重要です。
毎月『進捗会議』をします。この進捗会議では、
・目標に対し、何%達成しているか?
・1ヶ月でやったこと・課題
・これからの1ヶ月でやること・課題
この3点を発表します。
3点発表するだけなので、全体で30分もかかりません。
けれど、ここで発表するために、1ヶ月の間にチームで確実に進めないといけません。
だから、この進捗会議をすることで、実際に目標数値を達成していける、と言うわけです。
面白いことに、1年も実施すると、最初は目立たなかった人がのちに大活躍したりなど、誰がどんなリーダーシップを発揮するのか想定できないけれど、確実に一人一人がリーダーとして育ちます。
リーダーが『自然に育つ仕組みを作ること』が大事
どんな状況でも時代でも、それを受け入れ、その流れの中で進化成長していける組織が生き残り成長していきます。
だから、理想のリーダー像(いくつかのタイプ)に教育するのではなく、関係の質を上げながら、その信頼関係の中で、自然にリーダーが育ち、かつ、リーダーに依存するのではなく、全員がリーダーとなりうる『仕組み』を作ることが、いま、そしてこれからは、とても重要なのだと私は実感しています。