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深山 敏郎

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第157回 困ったときの老荘だのみ エピソード57

2024/06/18

毎回老子の言葉をひとつずつご紹介しています。
コラムの156回目では、「無心の強さ」について検討してきました。
老子は言います。「無心」がもっとも強いのだと。

今回は「和光同塵(わこうどうじん)」です。

「和光同塵」とは何か

今回は老子の言葉「和光同塵」の意味をご一緒に考えましょう。
老子は言います。
「本当の知者は、知をひけらかさない。知をひけらかす者は、真の知者ではない」と。

真の知者は、自らの感覚にとらわれず、自らの知をひけらかすこともありません。
また、事実を自らゆがめるということもしません。
才知を捨てて、自己主張もせずに、平凡に、世の中の人たちの考えに同調します。

真の知者に対しては、周囲の人はどう批判してよいかは分かりません。
また、どのように欺いてよいか、どのように仲良くできるか、など思い浮かびません。

このように外からの力では変えることのできない人こそ大変に偉大なのです。

つまり、自らの鋭さ、輝き、つまり光を弱め、また更に弱めて、主張をせずに自らを塵(ちり)のように目立たなくする。
そうしたことが出来る人こそが真の知者であるということです。

組織の中の3つの「じんざい」

組織の中では私たちはどう振る舞っているでしょうか。
自己主張をしなければ、組織の中で生き残れないと考える人が多いのではないでしょうか。
外資系企業では昔からそういう傾向があることは広く知られていました。

ここ数十年は、企業も人材を「人財」と書き、人的資本・資産であるとうたっているところが多くなっています。
しかし実情は、会社に貢献してくれる人だけが人財であり、そうでない人は人在(じんざい)という漢字であらわす、ただそこに居る人といった比喩を使っています。
また、会社に利益をまったくもたらさず、会社の損失に結び付くような人を、人罪(じんざい)と称して排除する、そうした風潮が加速してきているようです。

真の人財が欲しいのであれば、それを見極める私たちがまず「和光同塵」を深く理解し、真の知者から教えを乞うという姿勢をこそ、持つべきではないでしょうか。

本コラムが私たちの日々の悩みを和らげ、深く自省するきっかけになれば幸いです。

「老子」に関しては、徳間書店「中国の思想」第6巻 「老子・列子」を参考にさせていただきました。

レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。

(筆者:深山 敏郎)
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