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高松 秀樹

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第23回:余白が生み出すイノベーション

2021/05/22

印象に残っているCMや好きなCMなど、皆さんもいくつかあるかと思います。

私にとっては、台所で天ぷらを揚げているジュワッとした音を聞いた女優・牧瀬里穂さんが、そっと近寄りつまみ食いをして笑顔でピースサインをする、1992年くらいに放送された「味の素」のCMが、そのひとつです。

最後に「ちゃんと、ちゃんとの味の素」のセリフがかわいらしく印象深く残っています。

そんな「味の素グループ」ですが、オープン&イノベーションを積極的に推進していることも知られており、国内外の企業や研究機関などと組み、それぞれの研究者たちが互いの技術やアイディアを融合させることで、新たな価値を世に提供し続けているのです。

古くは、100年以上前に、旧東京帝国大の博士が発見した「うま味」を第5の基本味として世界に発信したり、アミノ酸を活用し、乳牛の栄養改善を図る「乳牛用製剤」を開発したり、一人前が一個のキューブになった鍋の素「鍋キューブ」の発売は、様々な家庭においても気軽に鍋料理を楽しめる環境を提供するなど、多くのイノベーションアイディアを創出し続けています。

昨年8月には、ある女性のTwitterへの返答も話題に上りました。

疲れて帰宅した母親が夕食に冷凍餃子を用意したが、子供は喜んでくれたのに、夫からは「これ、手抜きだろ。冷凍食品なんて」という内容のツイートに「味の素冷凍食品」の公式アカウントがすぐに反応し、「冷凍餃子を使うことは、手抜きではなく、“手間抜き”です」「冷凍食品を使うことで生まれた時間を、子供に向き合うなど、有意義なことに使ってほしい!」と実際に2人のお子さんと過ごす母である社員さんが、自分事としての本音を思いを込めて返信したところ、「40万を超えるいいね!」がつき、「冷凍餃子」がトレンドに入り、多くの反響を呼びました。

「家庭料理は妻が愛情を込めて手作りするべき!」という「手作り信仰」に対して「“手抜き”ではなく“手間抜き”」という返し、「冷凍食品は“余白を生み出す”アイディア商品である」とのメッセージには、味の素グループのイノベーションに対するスタンスが感じ取れました。

余白やゆとり、優しい想いからイノベーションは生み出されそうですね。