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深山 敏郎

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第144回 困ったときの老荘だのみ エピソード44

2024/03/19

毎回老子の言葉をひとつずつご紹介しています。
コラムの143回目では、「陰を負いて陽を抱く」について検討してきました。
世の中は陰と陽、そしてこの両者を結び付ける力があといいます。
また、「力を誇る人はみな、ろくな末路を迎えない」といわれています。
今回は「無有は無間に入る」です。

「無有は無間に入る」とは何か

今回は老子の言葉「無有は無間に入る」の意味をご一緒に考えましょう。
老子は言います。
無為の働きは大きい、と。
最も柔らかいものは最も堅いものですら征服する力があるというのです。
なぜならば形のないものは、どのような小さな隙間にも入りこむことができるからです。

ものいわぬ自然の教え、そして無為ということの働きは何よりも偉大であるということです。

組織を統治する力は何か

小林秀雄に「無私の精神」という書がります。
その中でいわれているのは自我を捨てて他者の言葉にきちんと耳を傾けるという精神の大切さです。
老子の教えは無為自然に徹することであり、作為を捨てたところに「道」があるというのです。

こうした作為を捨てると、世の中のことをすべて受け容れることができます。
そのため対処の仕方が分かるのです。

会議の席で何をするか、しないか

私たちは会議の席で、つい言いすぎてしまったり、また、つい黙ってしまったりします。
無為自然であることは、現実には非常に難しいことでしょう。
しかし、他者の声に耳を傾け、あらゆる先入観や固定観念を捨てた時に見えてくるものがあるのです。

新商品・サービス開発でも自分がイメージできないものをすぐに否定することがあります。
忍耐強く他者の話を聴くことは本当に難しいのです。
無私の精神で他者に耳を傾けることの大切さを、小林も老子も言っているのです。
本コラムが私たちの日々の悩みを和らげ、深く自省するきっかけになれば幸いです。

「老子」に関しては、徳間書店「中国の思想」第6巻 「老子・列子」を参考にさせていただきました。

レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。

(筆者:深山 敏郎)
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