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益田 和久

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第155回 フリーアドレス

2024/02/22

社員教育用の動画制作のお仕事も年間数回は依頼をいただきます。
依頼の多くは講義動画で自社スタジオでの撮影になりますが、今回は「職場でありがちなシーン」の撮影が必要になり、リアリティのある映像のご要望に応えるべくお客さまの執務室にお伺いしました。
そのお客さまのオフィスには研修登壇や打ち合わせで何度も伺ったことがあります。
最近は研修や打ち合わせもオンラインですることが多かったので久しぶりの訪問になりましたが、フリーアドレス制になって執務室内が様変わりしていたので少しビックリしました。

コロナ禍以降、在宅勤務という新しい働き方が増えてきたこともあり、フリーアドレスに移行する企業が増えてきました。
毎日出社するわけではないので、席も固定する必要はないし、出社したときに空いているデスクで仕事をすることは合理的だと思います。
今回のお客さまも含めフリーアドレス制を導入した企業に感想を伺うと、良かったことと今後の懸案事項の両側面からお話しをしてくださいます。

良かったことの一つとして、デスクの設置スペースを削減できることにより、執務室のイメージをリフレッシュできることです。
今回お伺いした日が休日ということもありましたが、以前と比べると執務室内は”スッキリしている”というイメージを持ちました。
オシャレなカフェにあるような長机がいくつか設置され、テーブルには電源タップがおいてあるだけ。
文房具や資料も共有のキャビネットで、個人持ちしておくPCや資料、書籍は小さなロッカーで管理しています。
必然的に”断捨離”も進みますし、ペーパーレスの促進にもなります。
また席数についても基本的には「社員の8割出社」をMAXで設定しているので、(レイアウト変更により)空いたスペースには、オンライン会議用のブースや一人で集中して作業できるようなスペースが増えました。
また今まであまり交流がなかった部署の方との交流が増えたことにより、新しい社内ネットワークが生まれやすくなったこともあるようです。
同じ会社、同じフロアにいても話すことのない人はいますしね。
コロナ禍で社内コミュニケーションが希薄になりましたが、それを打開する一つのきっかけにはなりそうです。

一方でいいことだけではないですよね。
管理職の方からはやりづらいという声も聞こえてきました。
席が固定されていないので、部下の在席や仕事の進捗を把握するのに手間がかかります。
その分、teamsやSlackなどのコミュニケーションシステムを活用することになります。
フリーアドレスなので社内のどこかに座っているはずなので、在宅よりは管理しやすいとは思いますが、管理する側とされる側の相互の努力も必要ですね。
管理される側でいうと、若手社員のように上司や先輩のアシストを頻繁に必要とする場合は、上司や先輩がどこに座るかを前日に把握しておく必要がありますのである意味面倒かもしれません。
また自分なりに仕事がしやすい場所というのができてくることもあり、フリーアドレスなのに「ここは自分の場所」といって他の人を座らせない”ジャイアンみたいな管理職、シニア社員”もいるようです。
困ったものです。(苦笑)

これからフリーアドレスに移行する企業は増えてくると思います。
導入するにあたっては、自社の特性や業務に合った適切な対策を検討することは勿論のこと、現場の声を聞きながらPDCAをまわしていくことが必要ですね。
単に環境を変えるだけでなく、各人がそれぞれの立場の職責を果たせるように、自分自身をアップデートしていくことも大事だと思った今日この頃です。