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岩田 徹

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第166回 客観的視点

2024/02/16

楽しみにしていたサッカーのアジアカップが終わりました。
海外の一流クラブでレギュラーとして活躍する選手たちを集め、
史上最強と言われ、アジアカップでも優勝候補の筆頭に挙げられていましたが、
ベスト8で敗退しました。
W杯での優勝を目指すと公言しているチームが、アジアでさえ勝てなかった事実。
次回のW杯はアジアから8枠の出場枠がありますが、
それさえも安心できない、そんな結果となりました。

予選3試合、決勝トーナメント2試合の全てて失点し、守備の不安を露呈。
また攻撃に関しても崩し切ってゴールを奪うことは稀。
攻守両面において課題を残し、格下と見ていた国にも苦戦、敗退を強いられました。

準々決勝で敗れたイラン戦。
試合後のインタビューで森保監督は、
「交代カードをうまく切れなかったのが敗因。」
と話し、先制ゴールを決め、攻守に奮闘した守田選手は、
「考えすぎてパンクというか、もっとアドバイスとか、外からこうした方がいいとか、
チームとしてこういうことを徹底しようとかが欲しい。」
と言いました。

何度もタイムをかけ、選手交代に制限のない野球では、多くの局面で考える時間を与えられ、
悪い流れを断ち切るために様々な施策が打てます。
一方でサッカーは、前半45分、後半45分の間で選手交代は3回、5人までという制限があります。また、流れが悪いからと言ってベンチがタイムを取り、作戦会議をすることもできません。
その上、スタジアムに轟く大歓声で、ベンチからの指示が聞こえないことがほとんど。
それゆえ、ピッチで戦う選手たちが自分たちで修正しながら戦うことが必要になります。
が、必死に走り回り体力を消耗していく選手たちに、
客観的視点を常に持たせることは至難の業。
ましてや劣勢に追いやられ、考えることが多くなればなるほど、選手の視野は狭くなります。
だからこそ、ハーフタイムで頭の整理を行うことと、
3回与えられた選手交代のタイミングをいかに活用するのかが重要になります。
誰と誰が変わるのかによって、
ピッチで戦う選手たちはベンチからの無言のメッセージを受け取ります。
ベンチの意図と選手と受け取り方が一致すれば流れが変わるかもしれません。

今回敗退したイラン戦では、流れが完全にイランに傾いた時に
ベンチが有効な手立てが打てたかというとそうではなかったと思います。
中で戦う選手たちが必死であればあるほど、視野や視界が狭くなり、
劣勢に追いやられた時の精神状態では心にも余裕がなくなり、
普段できるプレーもできなくなります。
だからこそ、ベンチが冷静に客観的に状況を判断し、有効な一手を打つことが必要なのでしょう。

仕事の側面においても同様のことが言えると思います。
目の前のことに集中しすぎて余裕を失わないよう、客観的に物事を見て、考える。
そういったことが非常に大切であると、
アジアカップでの敗退を見て改めて感じることができました。