対話型コミュニケーター&認定コーチ養成講座の
受講生の一人から、次のような話がありました。
「良いコミュニケーションは、
テンポの良いコミュニケーションと思っていました。
私が話すと相手がすぐ理解し反応し、
そしてお互いが合意して、次のステップに進む。
これがテンポよく進むこと。
効率よく相手と会話ができて合意する」
あなたはどう感じるでしょう?
彼の仕事は営業職です。
顧客からの依頼に対して、
彼がすぐに理解してわかった内容を反復して、
依頼事項の期日などを確認して進めていく。
顧客からの依頼を適切に処理していく場面では
適切なコミュニケーションとして
正しい理解です。
場面が変わって、
彼が顧客に新しい提案を行った場合。
彼は、顧客が無口になった場合、
顧客が否定的な感情を持っていると思い込んでいるようです。
無口になったとき、
否定的な反応の場合もありますが、
提案に対して、考えをめぐらせている時間の場合もあります。
提案が、自分の抱えている課題に合ってしているのか?
新しい解決方法になっていくのだろうか?
試してみたらどうなるのだろうか?
などの考えを巡らせている時間の可能性があります。
顧客が黙ったら、次は否定されるのではない?
という恐怖・不安が営業担当者の場合、発生しやすいです。
そして、
「だめですかね?」
と否定的な言葉を発言する営業担当者も見かけます。
すると顧客は、
「あれ、ダメな提案なの?」と思ってしまいます。
テンポが良い会話でなくとも、
一定の間ができる対話が良い場合もありますね。
顧客に限らず、相手が考える時間のある対話。
これは相手にとって、
良い・悪いは別にして、
考えを巡らせている状態は、
新たな気づきや潜在意識・潜在ニーズに
つながる時間です。
コーチングでは、
相手がすでに思いついていてすぐ話せること、
いわゆる顕在的な話から、
考えを巡らせる時間、
潜在している自己との対話の時間を
とても大切にしています。
テンポの良い会話でも
新たな気づきがある場合もあります。
場面によって、テーマによって、
良いコミュニケーションの定義は
変わってきますね。
講座に参加していた彼は、
顧客が考えを巡らせている時間かどうかを観察することを、
次回までの宿題としました。