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星 寿美

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第2回 どうして社長の言葉は社員に届かないの?

2021/04/25

どんなに情熱込めて語っても、なかなか社員に真意が伝わらない・・・。
そんな風に感じることはありませんか?

実は、それは当たり前のことなのです。

立ち位置や役割の違いから、見ている視点・見えている視野が違うので、同じ言葉の解釈が、そもそも違うからなのです。

「え!じゃぁ社員に何を言っても通じないの?」

ご安心くださいね。そんなことはありません。
では、どうしたらいいのでしょうか?

社長の話を社員が理解する3つのステップ

社員に真意を理解してもらうために必要な3つのステップがあります。

1.相手には話の『3』も伝わっていないことを理解する

先ほども書きましたが、視点や視野が違うので、社員は社員なりに社長の言葉を理解します。これはお互い様ですし、親子や夫婦・友人関係でも然りです。

同じ事実を見て、感じ方は人それぞれ、ということに似ています。

「情熱を込めて、一生懸命に語れば伝わるはずだ!」というのは思い込み。

情熱の部分は伝わりますが、別の解釈のまま情熱が伝わってしまう可能性もあります。

ここで大事なことは『自分と相手は、視点も視野も感じ方も背景も違う人間である。』と伝える側が自覚していることです。

2.言葉の意味や定義をすり合わせる。

コンサル先の某企業で起こったことです。社長の例ではありませんが、わかりやすい例だと思うので、少しお付き合いください。

部下たちが、あるリーダーに強いストレスを感じていました。

そのリーダーは、営業成績1位なので、会社としては大切な存在です。

このように『プレーヤーとしては一流でも部下を育成できない!』という問題はよく起こります。

私は、その部署の人たち全員を集めて「リーダーとは何ですか?」ということを考えてもらい、一人一人発表してもらいました。正解不正解はなく、思っていることを言語化していただきました。

結果・・・参加した20名、全員がバラバラな解釈だったんです。

「みんなを引っ張っていく人」「一人一人をフォローする人」「仕事のことは全部把握している人」などなど。この全てに合わせることはできませんので、これではお互いに不幸ですね。

そこで『自分たちにとってのリーダーとは?』ということを、リーダーの得意不得意や性格も踏まえて、みんなで『すり合わせ』をしました。

そしてリーダーが不得意な部分を、みんなでどう補うか役割分担もしました。それからは、リーダーへのストレスは解消され、お互いに尊重しあえるチームとして成長していきました。

このように『リーダー』という、ごく一般的な単語一つとっても、一人一人解釈が違うものなのです。

3.実戦の中で意味や定義をすり合わせる。

「そんな単語、一つ一つをすり合わせていたら仕事にならないよ!!」

大丈夫!たった2つのことさえ心がければ、心配はいりません。

①上記に挙げた例のように、何か不具合が起こったときや、これから新しくプロジェクトを進めるような時、そして、社長からの言葉など、真意を伝えたいときに、意識して言葉の意図をすり合わせましょう。

②普段から対話を心がけ『関係の質』を上げることを心がけましょう。

この2つのことを心がけていれば、それほど誤解は起きません。しかも、そのプロセスで信頼関係も育ちます。だから、単語一つ一つすり合わせるなんてしなくても大丈夫です。

さて、社長の言葉を社員に理解してもらうのも同じプロセスです。

特に社長と社員では、立ち位置や役割の違いから、見ている視点・見えている視野が、とても違うので、同じ言葉の解釈が、そもそも違うため、社員なりに解釈し真意が伝わらないのです。

ですから、社長の言葉をどう感じて受け取ったのか?アウトプットする機会を作るといいでしょう。社長の話の直後がベストですが、もし難しければ、何かの会議前の10分や15分でも効果的です。

すると、同じ話を聞いているハズなのに、社員によって驚くほど違う解釈や意見が出てきます。それを出し合った後に。

「つまり、社長が言いたかったことは、こういうことじゃないか?」と自分たちで『すり合わせる過程』で、より深く理解していきます。

その中で疑問が出てきたら質問という形で返ってくるので、そのやりとりでまた深まります。

特に、現代は多様な価値観が認められる時代、組織をまとめたい!と思うなら必要なプロセスです。

信頼関係を育むプロセスになる

いかがでしたか?
目の前にいる社員には、そもそも話の『3』も伝わっていない、と自覚するところが、スタートです。

そして、すり合わせるプロセスで『信頼関係』が育ちます。ここが重要です。

どんな仕事も、信頼関係で成り立っていると言っても過言ではないからです。

もし誤解があったとしても、信頼関係があれば、誤解を解くことも難しくありませんし、もっといい成果を出そうというような、やる気にもつながります。

しかし、信頼関係がなければ、たとえ真意が伝わったとしても、成果が出づらい組織になります。

『真意を理解してもらうプロセス』は『信頼関係を育むプロセス』でもあります。

ぜひ試してみてくださいね!