どんなに情熱込めて語っても、なかなか社員に真意が伝わらない・・・。
そんな風に感じることはありませんか?
実は、それは当たり前のことなのです。
立ち位置や役割の違いから、見ている視点・見えている視野が違うので、同じ言葉の解釈が、そもそも違うからなのです。
「え!じゃぁ社員に何を言っても通じないの?」
ご安心くださいね。そんなことはありません。
では、どうしたらいいのでしょうか?
社長の話を社員が理解する3つのステップ
社員に真意を理解してもらうために必要な3つのステップがあります。
1.相手には話の『3』も伝わっていないことを理解する
先ほども書きましたが、視点や視野が違うので、社員は社員なりに社長の言葉を理解します。これはお互い様ですし、親子や夫婦・友人関係でも然りです。
同じ事実を見て、感じ方は人それぞれ、ということに似ています。
「情熱を込めて、一生懸命に語れば伝わるはずだ!」というのは思い込み。
情熱の部分は伝わりますが、別の解釈のまま情熱が伝わってしまう可能性もあります。
ここで大事なことは『自分と相手は、視点も視野も感じ方も背景も違う人間である。』と伝える側が自覚していることです。
2.言葉の意味や定義をすり合わせる。
コンサル先の某企業で起こったことです。社長の例ではありませんが、わかりやすい例だと思うので、少しお付き合いください。
部下たちが、あるリーダーに強いストレスを感じていました。
そのリーダーは、営業成績1位なので、会社としては大切な存在です。
このように『プレーヤーとしては一流でも部下を育成できない!』という問題はよく起こります。
私は、その部署の人たち全員を集めて「リーダーとは何ですか?」ということを考えてもらい、一人一人発表してもらいました。正解不正解はなく、思っていることを言語化していただきました。
結果・・・参加した20名、全員がバラバラな解釈だったんです。
「みんなを引っ張っていく人」「一人一人をフォローする人」「仕事のことは全部把握している人」などなど。この全てに合わせることはできませんので、これではお互いに不幸ですね。
そこで『自分たちにとってのリーダーとは?』ということを、リーダーの得意不得意や性格も踏まえて、みんなで『すり合わせ』をしました。
そしてリーダーが不得意な部分を、みんなでどう補うか役割分担もしました。それからは、リーダーへのストレスは解消され、お互いに尊重しあえるチームとして成長していきました。
このように『リーダー』という、ごく一般的な単語一つとっても、一人一人解釈が違うものなのです。
3.実戦の中で意味や定義をすり合わせる。
「そんな単語、一つ一つをすり合わせていたら仕事にならないよ!!」
大丈夫!たった2つのことさえ心がければ、心配はいりません。
①上記に挙げた例のように、何か不具合が起こったときや、これから新しくプロジェクトを進めるような時、そして、社長からの言葉など、真意を伝えたいときに、意識して言葉の意図をすり合わせましょう。
②普段から対話を心がけ『関係の質』を上げることを心がけましょう。
この2つのことを心がけていれば、それほど誤解は起きません。しかも、そのプロセスで信頼関係も育ちます。だから、単語一つ一つすり合わせるなんてしなくても大丈夫です。
さて、社長の言葉を社員に理解してもらうのも同じプロセスです。
特に社長と社員では、立ち位置や役割の違いから、見ている視点・見えている視野が、とても違うので、同じ言葉の解釈が、そもそも違うため、社員なりに解釈し真意が伝わらないのです。
ですから、社長の言葉をどう感じて受け取ったのか?アウトプットする機会を作るといいでしょう。社長の話の直後がベストですが、もし難しければ、何かの会議前の10分や15分でも効果的です。
すると、同じ話を聞いているハズなのに、社員によって驚くほど違う解釈や意見が出てきます。それを出し合った後に。
「つまり、社長が言いたかったことは、こういうことじゃないか?」と自分たちで『すり合わせる過程』で、より深く理解していきます。
その中で疑問が出てきたら質問という形で返ってくるので、そのやりとりでまた深まります。
特に、現代は多様な価値観が認められる時代、組織をまとめたい!と思うなら必要なプロセスです。
信頼関係を育むプロセスになる
いかがでしたか?
目の前にいる社員には、そもそも話の『3』も伝わっていない、と自覚するところが、スタートです。
そして、すり合わせるプロセスで『信頼関係』が育ちます。ここが重要です。
どんな仕事も、信頼関係で成り立っていると言っても過言ではないからです。
もし誤解があったとしても、信頼関係があれば、誤解を解くことも難しくありませんし、もっといい成果を出そうというような、やる気にもつながります。
しかし、信頼関係がなければ、たとえ真意が伝わったとしても、成果が出づらい組織になります。
『真意を理解してもらうプロセス』は『信頼関係を育むプロセス』でもあります。
ぜひ試してみてくださいね!