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岩田 徹

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第141回 届かぬ想い

2023/08/25

夏の甲子園の3回戦。
茨城県代表の土浦日大高校と千葉県代表の専大松戸高校の対戦。
隣県同士の対決、しかも常磐線で30分ほどの距離にある学校同士の対戦。

開幕試合を突破し、学校初の甲子園2勝を挙げ勢いに乗る土浦日大。
春の選抜ベスト8で好投手を要する専大松戸。
先制をしたのは専大松戸。
相手投手の不安定な立ち上がりを攻め、3回表で6-0。
一方的な流れになりそうな、そんな予感さえする序盤でした。
流れを食い止めたい土浦日大は3回途中からエースが登板し反撃体制に。
3回裏には5点を返し流れを呼び込み、好調な打線がその後も点を重ね、
最終的には10-6で土浦日大が初のベスト8進出を果たしました。

序盤と中盤以降で大きく流れが変わった試合でしたが、
この試合、前日までの台風の影響で東海道新幹線のダイヤが乱れ、
両校の応援団が試合開始に間に合わないという事態になりました。

いつ動き出すのか、いつ到着するのかもわからない新幹線で試合の様子を追い、
少しでも選手たちにエールを送ろうと、応援団は念を送るしかありませんでした。
アルプススタンドには練習の補助要員として甲子園入りしている選手のほか、
選手の家族、数少なく前入りしていた一部の生徒たちがいるくらいでした。
応援が力になることはご存知の通りで、
人数は少ないですが、両校とも、必死の応援、声援を送っていました。
その姿勢に感化された一般客が手拍子するなど、
普段見られる甲子園とは違った雰囲気の試合になりました。

結局両校応援団は試合終了までに甲子園に辿り着けませんでした。
試合が終了し、誰もいない甲子園に到着した応援団。
土浦日大高校は次の準々決勝で再度応援できますが、
敗れた専大松戸の応援団は甲子園を去ることになります。
吹奏楽部、チアリーダー、同級生の応援に駆けつけた一般生徒。
自分たちが少しでも声援を送れていれば、という思いもあり涙する生徒も。

試合をしているのは選手たちですが、応援団もチームの一員。
自分たちの声が選手たちの勇気や自信となり、
普段発揮しないような力を生み出すこともあります。
応援団の方々も自身の役割を認識し、チームの勝利に向かってなすべきことをする。
監督や選手だけでなく、スタンドも一体となって戦えるチームは強いです。
そして、それぞれ一人一人が役割を認識し、全力を尽くすチームも強いです。

企業においても同じことが言えます。
誰一人傍観者となることなく、主体的に行動を起こし、自らの役割を全うしながら、
組織全体として成果を求める。
そういった組織は一体感もあり、強い組織と言えるのではないでしょうか。