コロナ禍の影響で苦境に陥っている高速バス。
飛行機や新幹線の輸送人員がコロナ前の9割近くまで回復したのに対して高速バスはまだ6割に留まっています。
その高速バス業界で、需給に応じて価格を変えるダイナミックプライシングの導入が広がりそうな様相です。
業界関係者によると、高速バスの需要回復が遅い原因として、高速バスの単一価格設定が多いことを指摘します。
10年程までに運賃変動の料金設定は国が認めているのですが、バス会社は過去の慣習にとらわれ導入が遅れており、それが機会損失になっていると分析していました。
ダイナミックプライシング導入拡大の背景には、高速バスの座席予約システムを開発する大手企業が普及に本腰を入れ始めていることもあります。
システムの中身は、AIを使って需要変動を予測→需要減で従来の固定運賃では十分な席数が売れないとAIが判断→運賃の引き下げを推奨→価格引き下げにより販売数増加をねらい収益を上げるという流れです。
AIは日々の販売記録や運行日に開催されるイベントや鉄道・新幹線等の競合価格も学習し、最適な変動運賃を提案するようです。
開発企業は「AI予測で1台あたり1割以上の収益増が期待できる」と予測しています。
ダイナミックプライシング導入拡大が高速バスの需要回復に繋がればいいですし、そのことにより相乗効果で宿泊や観光関連の業績向上や、運輸サービス全般の品質、サービスの改善につながることも期待できます。
AI様様ですね。
ダイナミックプライシングは、企業も消費者もそれぞれメリットがあります。
企業は(先述の通り)需要が高まる時期は値上げして収益増加につなげて、需要が低い時期は値下げによる在庫処分で利益を確保できます。
要は収益の安定です。
消費者は、時期によりお得に商品やサービスを得られたり、入手が難しいものも見合う対価を支払うことで入手しやすくなります。
私たちの日常生活のあらゆるところで、ダイナミックプライシングが採用されつつあります。
宿泊施設や飛行機は以前より繁忙期と閑散期では値段が違いますし、ユニバーサルスタジオジャパンやプロ野球、Jリーグなどのレジャー産業は徐々に導入をしています。
最近ですとJR東日本が平日朝のピーク時間帯以外に通勤電車を利用する人向けに「オフピーク定期券」の販売を開始しました。
「オフピーク定期券」は通常よりも10%安く利用できることもあり、今後利用者が増えれば通勤時間帯の混雑緩和にもつながることが期待されます。
もっと身近なところですと、居酒屋の「ハッピーアワー」でしょうか。17:00-19:00までは、ビールや酎ハイの価格が300円!といったものです。
これはAIを使っていないと思いますが、いずれにしても少ない時間帯の集客としては昔からやっていることです。
AIの出現で、価格変動や意思決定にかかる人的スキルやマンパワーも少なくなりました。
もっと身近にAIが活用できるようになれば、ダイナミックプライシングの導入企業が増えて、新たなカタチでの経済活性化が期待できます。
弊社も時期によって稼働の差があるので、ダイナミックプライシングを導入してみようかと思った今日この頃です。