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金山 正明

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第123回 この人に聞く!~人・組織が羽ばたく時~

2023/05/28

株式会社白亞 代表取締役社長 糸井謙司様(其の3)

今回の対談は、株式会社白亞 代表取締役社長 糸井謙司様にご協力頂きました。
株式会社白亞様は、1981年の創業から現在まで、お客さまの「お役に立ちたい」を合い言葉にハウスクリーニング事業、害虫駆除事業など、衛生に関わる事業を展開されております。
今回は糸井様が会社を引き継いだ後から現在までのお話し、そして糸井様が描く今後のビジョンについてお話しを伺います。

金山:先週は糸井様のキャリアと2代目として会社を継ぐまでのお話しを聞かせて頂きました。
社長になられてから現在までのお話しを聞かせて頂けますでしょうか。

なぜ白亜という会社がここに存在しているんだろうという疑問

会社を継いだのが2011年だったんです。
正直業績は悪いとは思っていたんですよ。
害虫駆除の部門で業績を良くしたとは言っても、事業のメインはお掃除でしたから、全体の中の売り上げ規模で言うと七分の一程度なんです。
ただ、お掃除部門に関しては私全くタッチしていなかったので、業績が悪いことは当然分かっていたんですけど、ここまで悪いと思っていなかったというのが正直なところでした。

会社の色々な数字を見て最初に思ったのは、なんでこれでこの会社潰れてないの?という疑問でした。
とにかくお金がない状態でスタートしたんです。
私が社長になった翌月の話しなんですが、月末で給料やその他支払いがあって700~800万ほどお金が必要だったんです。
ただ、前日に金庫の中のお金、会社にある現金全部集めてきても30万円しかない。
人間行くとこまで行くと笑っちゃうんですよね。
それと、お金がないというのは経営者としてすごく辛いことなんですけど、それと同じくらい辛かったのが、「謙司さん社長やってくださいよ!」って言ってた人たちが、「社長なんだから何とかして下さいよ」といって先代に言えなかった愚痴も含めて私に詰め寄ってきたんです。
てっきり「社長大変な状況ですけど一緒に頑張りましょう!」って言ってくれるのではと思っていたんですが、そうではありませんでした。

金山:凄まじい経験ですね。
そんな状態から生き残ったというのは凄いことですね。

普通これだけのことがあったらその会社潰れますよね。
それが、ある意味奇跡的に生き残ったんです。
それは、3.11なんです。
茨城県が被災地だったので、本来おりるはずのない融資がおりたんですよ。
そんな中で、これもすごく格好悪い話なんですけど、私自身その時の状況に嫌気がさしていたんです。

家では会社に行くのが嫌だなってため息交じりに言っていました。
そんな姿を見た嫁さんが、私にこう言ったんです。
「そんな社長が行きたくない会社って、誰も行きたくないんじゃない?それを何とかするのが社長の仕事でしょ?」
ぐうの音も出ない正論でした。
本当その通りだなぁって。
そういう状況を変えられるのは役員でも社員でもないし、社長がやることだなと腹をくくったんです。

腹をくくって取り組んだ二つのこと

まずは信頼関係の回復が必要だと考えました。
そして全体集会で社員を集めてこう聞いたんです。
「クレームや事故が起こったら誰の責任だと思う?」
私は最終的な責任は全部社長にあると言いました。
なぜならみんなを雇うと最終的に決めたのは社長だし、そういう仕事をさせると決めたのも社長だから、その責任は全部社長にある。
だからクレームが起こった時は、社員に責任を負わせることは絶対にしないし、報告さえしてくれれば全部の責任は社長が取る。
必要ならばお客さんに謝りに直接社長が全部行くと宣言したんです。
だから隠さないで全部言ってくれと言ったんです。
そうしたら約1カ月くらい毎日どこかに謝りに行くという日々が続きました。
1カ月間やり続けると社員も社長は言った通りやってくれるんだって認めてくれたんです。

次に取り組んだことは、この事業の可能性と価値を伝えたんです。
この事業、この会社には未来がある。
そしてすごく価値のある仕事をしている。
掃除をしたり害虫駆除をしたりするということは、家に上がっていくということです。
トイレをピカピカにしたり、ハチの巣を取ったりするととても喜んでくれます。
当たり前のようにお茶を出してくれますし、孫と接するようにお菓子を出してくれるおばあちゃんがいたりもします。

飛び込み営業でこんな関係築いたことないなと思いましたし、そこにすごく可能性を感じました。
ボランティアでやっているわけでもないのに、お金をもらって仕事して感謝される。
すごい可能性を感じました。
そして綺麗にするというのがそれだけじゃなくて、世の中を良くしていくことにつながるんだなと本気で思います。
有名なお話しですけど、ニューヨークの地下鉄の落書き全部消して窓ガラスを張り替えたら犯罪率が激減したとか、広島で荒れている学校で先生たちが一生懸命トイレをピカピカにきれいにしていくとだんだん収まって、今ではモデル進学校になっていったとかですね。

だからこの仕事は、ただ掃除をしに行く仕事じゃなくて、社会を良くしていく、世の中を良くしていく仕事なんです。
とても価値のある仕事だし、それを誇りに仕事をしていこうと話しました。
プレゼンが終わった後パートのおばちゃんが肩をポンと叩いて「社長いい話だったよ!」と言ってくれました。
それから少しずつ会社が変わった行ったんです。

金山:なるほど。
社長の責任、そして事業の可能性と仕事の価値。
素晴らしいお話しをありがとうございます。
最後にお尋ねしたいのですが、今後糸井様が描いているビジョンを教えて頂きたいです。

夢をもって生き生きと頑張る大人を増やしたい!

そうですね。
本当に一つ思ってることは、一番根底にあるものなんですけど、やっぱりうちも子供が2人、もう20歳と19歳になってますけど、日本って子供たちが将来夢を見て、未来が明るいなって思ってる数って先進国の中でダントツで低いようなんです。
それって大人のせいだなって私思っているんですけどね。
大人が元気に夢を持って生き生きと働いていないので、やっぱり自分の将来がその大人の姿だと思うと、子供が希望を感じることができないと思うんです。
だから本当に夢を持って生き生きと頑張れる大人を増やしたいと思っているんです。
そういう大人でいっぱいの世の中にしたいなって。
そのためにはそういう職場を増やさないといけないですし、そういう職場を増やすためには、そういうことができる社長を増やさないといけない。
やっぱり社長の影響力は大きいですからね。

もう一つは、掃除の仕事というものの価値を高められたらいいなって思っています。
どうしても掃除の仕事、害虫駆除の仕事っていうとなんかちょっと被害妄想かもしれないですけど、下に見られている。
働いてる人もそう思っていたりするんですよ。
そういったイメージを変えて、誇りを持って仕事できるような業界に変えていきたいなと思っています。

金山:確かに大人たちがもっと夢をもって生き生きと、誇りを持って仕事ができる社会ができたら素敵ですね!
この度は対談へのご協力、ありがとうございました。
これから益々のご発展をお祈り申し上げます。 

今週は会社を引き継いだ後から現在までのお話し、そして糸井様が描く今後のビジョンについてのお話しを伺いました。
次週は最後の結びとして、私が今回の対談から得た学びと気づき、そして人、組織の育成に活かすためのポイントをお届けします。

会社情報

事業所名:株式会社白亞
所在地:茨城県土浦市中高津2-17-15
HP:http://www.hakua-group.jp/
事業内容:
・各種ハウスクリーニング及びビルメンテナンス事業
・ペストコントロール事業
・殺菌・抗菌・消毒・環境浄化・環境美化事業
・メンテナンス機器・環境衛生食品の販売事業
・光触媒事業及び清掃・抗菌関連商品の販売事業