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深山 敏郎

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第94回 対人関係のレジリエンス(2)職場でのユーモア① 

2023/04/04

前回は、対人関係のレジリエンス(1)「男女間のコミュニケーション④」として、ストロークのことをお話してきました。

今回は職場でのユーモア①として、ユーモアの大切さなどについてお話ししましょう。

ユーモアもストロークの一種である

前回、ストロークの大切さについてお話をしてきました。
今回は、ストロークの中でも互いのコミュニケーションを劇的に促進する「ユーモア」についてお話をしましょう。

ユーモアは、知的レベルのバロメーターと言われることもあります。
世界的に有名な劇作家であり、詩人のシェイクスピアはどの戯曲の中にもユーモアを散りばめています。
観客はそれを目当てに集まるといっても間違いではありませんでした。

例えば、男女の言い争いが恋に発展するといった場面でもその言葉の端々にユーモアが散りばめられていて、その言い争いが完全に知的なゲームになっています。
「空騒ぎ(原題はMuch Ado About Nothing)」では、主人公のベネディックとベアトリスという二人が劇の冒頭に近いところで交わすやり取りは、シェイクスピア戯曲の中でも卓越したシーンといわれています。
ここでは詳細は省略しますが英語で交わされるこれらの台詞のリズムと言葉尻を捉えた互いの突っ込みは、辛辣な漫才を観ているような気分にさせてくれます。

このベネディックとベアトリスが、互いに相手を非難し言い合うのですが、劇の最後には互いに恋に落ちていたことに気づき、結婚に至るのです。

実はシェイクスピアは、悲劇の中でもユーモアをうまく使いました。
「マクベス」というスコットランド国王の悲劇を扱った戯曲では、マクベスが時の国王を暗殺する直前に酔っぱらいの門番を登場させ、観客に大笑いを提供してくれます。
また、有名な戯曲「ハムレット」においては、主人公ハムレットが海外から秘密で帰国して、かつての恋人であったオフィーリアの葬式を見て彼女の死を知る直前に、二人の墓堀を登場させて観客に大笑いさせます。
その直後に葬式のシーンになるわけです。

シェイクスピアの場合は、悲劇で重苦しい雰囲気のままプロット(筋)が進行しても、観客は感情の変化を感じづらく、「笑い」を用いて観客をリラックスさせた上でどんと落とすという手法を取りました。
そこが彼を超一流にした一つの理由となっています。

職場でのユーモアはチームの生産性を向上させる

職場でも、まじめな話だけでは脳の活性化は一部分だけとなり、総合的な活性化には至りません。
まじめな話を否定するわけではないのですが、適度なリラックスがチームを活性化します。

例えば、重要な会議に入る前に一言ジョークを言う上司は日本では苦笑いを誘うことが多いのでしょうが、海外ではセンスの良い上司である、雰囲気作りがうまいといった評価を得ることが多いでしょう。

これらは、場の雰囲気をうまく適度なリラックスへと誘導しているからです。
まじめと非まじめ(不真面目ではありません)をうまくミックスして緊張をコントロールするという手法を用いることで、会議などの参加者の緊張をほぐしてホンネを導き出しやすくしているのです。

このように緊張をほぐすことも、対人関係のレジリエンスを高めることになります。

レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。

 (筆者:深山 敏郎)
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