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高松 秀樹

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第107回:急激な物価上昇への対応

2022/12/31

「賃金低迷」と「急激な物価上昇」に直面している日本。

過去のデフレや成長期待の低さ、労働市場の硬直性などが背景に存在しますが、足元で輸入インフレが実質賃金を押し下げるなか、従業員の生活を守るべく、ようやく大企業を中心に「賃上げの動き」が見えはじめています。

精密機器大手「キヤノン」が2003年以来、20年ぶりに事実上の「ベースアップ」を実施すると発表したのですが、同社では、来年1月から「全社員2万5000人を対象」に、月の基本給を「一律7000円」引き上げるとのこと。

「キヤノン」は職務や実績に応じて賃金を決める制度を導入しているため、実際には、ベースアップという仕組みはないものの、今回は急激な物価上昇の中で「従業員の生活安定」を支えるための「特別昇給」という形で事実上のベースアップ対応。

「ベア+定昇」で約1万4千円(3.8%)の賃上げになるようですが、これでようやく現在のインフレ(3.7%)をカバーできる程度です。

賃上げは企業にとって「固定費増」となるため、「成長率」や「生産性」が高まらない限り持続は困難。。

さらには、働き方の多様性が広がる昨今において、「横並びの賃上げ」は馴染みにくくもなっています。

今後の持続的な賃上げを期待するには、「収益向上」や「組織構造の改革」、「社内人材の流動化」や人的投資によるさらなる「人材・組織育成」などが必須となるでしょう。

今回のベースアップの動き、従業員にとっては、ありがたい対応ではあるでしょうが、その場しのぎにならないよう、働く我々自身の変容も求められているのですよね。

「変化・進化」の2023年を過ごしたいものですね。