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益田 和久

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第90回 業務改善の方向性

2022/11/24

起業家のイーロン・マスク氏が、Twitter社を買収したことは世界的なニュースになりました。
しかもこの買収は”個人”でやったことであり、440億ドル(約6兆5000億円)を投じたといわれておりますので、まさにワールドワイドなスケールの話です。

買収前から「買収する、しない」で世間を賑わせていました。
買収してからは「前代未聞のリストラ」で更に注目を集めています。
10月31日付けでTwitterの最高経営責任者に就任すると同時に取締役を全員解任。
11月4日には全世界の従業員7500人の半分に当たる約3700人に解雇を通告したという報道が流れました。

正確な人数の発表はありませんが、同社を解雇された人たちが積極的に”つぶやいている”ことで、その情報が少しずつ明らかになっています。
海外では当日急に解雇になる話は良く聞きますが、解雇が厳しい日本で、こんなにも急なリストラは成立するのか。
このあたりは今後注目していきたいところですが、ふと思ったのは、人員削減とIT化(DX化)の関係です。

以前よりTwitter社が莫大な赤字を抱えており、マスク氏が買収するとその点に大きなメスをいれると言われていました。
赤字の大きな原因は人件費のようです。
私たちの感覚からすると、世界中の誰もが知っているIT関連企業ですから、IT化やDX化の先頭をいく最新鋭の働き方をし、少ない人員で業務をまわしているようなイメージがあります。
しかし実際はそうでもなく、従業員は“ダブついている”という話はIT業界の方からも聞いていました。
今回の買収に関わらず、人員のスリム化は喫緊の課題だったようです。

Twitter社のような極端な事例は別として、お客様や同業者と話をすると人員のスリム化は着々と進められていると感じます。
並行してIT化やDX化も進めていますが、現場から上がってくる声は「むしろ仕事は増えている」というものです。
コロナ禍の影響やIT化やDX化による新たな仕事の進め方への移行による、一時的な業務量増大という見方もできますが、実際のところは基本的な業務の見直しや改善が進んでいないことも大きな理由であると推察しています。

リモートワークが社会全般で導入されたことで、根本的に業務を見直し、効率化や合理化が進んだことも事実です。
一方で見直さなければならない業務も、まだまだ相当数あることも確かです。
現場でお客様から話しを伺ったり、研修講義で業務の見直しというワークショップをやると、業務改善は簡単ではないことはよくわかります。
日常業務で“通常運転”のことほど、改善の方向性や糸口がなかなか見出しづらいと思います。
そうしたとき、一つのきっかけとなるのが「前提条件の変更」です。

今まで1日かけていたものも半日にするとか、2人でやっていたことを1人でやってみるなど、そもそもの前提を変えてみない限りは良いアイデアも出てこないのだと思います。(だからといってTwitter社のように、いきなり人数を半分にして仕事が成立するのかは疑問ですが)

これまで私たちは業務改善というと、品質向上のために新しいことを始めたり一手間工夫を加えるといった、工数が増えることに着目しがちでした。
しかし、これからはその逆の発想で、プロセスの省略や実施事項の簡素化など、仕事を“減らす”発想も必要になってくると思います。
“仕事を減らす”ことで、一時的には周囲から理解を得られないことやハレーションが起きることもあるかもしれませんが、そういうプロセスを乗り越えるからこそ、新しい仕事の進め方が見えてくるのだと思います。
長期的な視点で、業務改善を進めていく“シナリオ”とそれに伴う“スキル”や“チームワーク”をもっとわかりやすく提供できるようなコンテンツが必要と感じた今日この頃です。