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深山 敏郎

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第72回 経営者のレジリエンス(22)経営者のセルフ・マネジメント(タイム・マネジメントIV)

2022/11/01

前回は、経営者のレジリエンス(21)経営者のセルフ・マネジメント(タイム・マネジメントIII)でした。
主にタイム・マネジメントのタイプについてご説明しました。

今回は、「経営者のセルフ・マネジメント(タイム・マネジメントIV)」というテーマで、タイム・マネジメントのそれぞれのタイプの特徴と落とし穴をご紹介します。

あなたの時間管理のタイプは?(前回の復習)

Q. あなたの時間管理は次のどのタイプに近いですか?

1位:マルチタスクで仕事を並行しながらバランスを取るタイプ(357人 男性141人、女性216人)
2位:周到に計画を立て、きっちりと進めるタイプ(187人 男性88人、女性99人)
3位:優柔不断タイプ(144人 男性64人、女性80人)
4位:柔軟に流れの中で判断するタイプ(131人 男性42人、女性89人)
5位:1点集中、これだけタイプ(100人 男性57人、女性43人)
6位:いつもバタバタ超忙しいタイプ(77人 男性33人、女性44人)
・その他(自由記入) 
「いろいろな仕事に同時に手をつけながら、よりやりやすいものからやっていくタイプ」、「決まっていない」、「とりあえず目先の仕事はちゃんとやりますタイプ」、「どれにも当てはまらない」

時間管理タイプごとの特徴と落とし穴

1.マルチタスクで仕事を並行しながらバランスを取るタイプ:
このタイプは約35%います。
まずまず無難な線を歩くタイプです。

高度なレベルで実践できているとすれば、プロジェクト・マネジャーやプログラム・マネジャー、そして優秀な経営者かもしれません。
ただし、自分ではそのつもりでも周囲から見ると集中力が低いと映る場合もあるので要注意です。

このタイプが陥りやすい落とし穴は、頼まれた仕事を何でも引き受けて、時間が不足するため、いつも心に余裕がないということです。
このタイプへのアドバイスは、まず目標をしっかり立てること。そして仕事の優先順位をつけることです。
1日はどう頑張っても24時間しかないのですから。

2.周到に計画を立て、きっちりと進めるタイプ:
このタイプも約2割が該当します。
特徴は、ロジカルな考え方と強い意志を持った人が多いようです。
ただし、計画の内容によって周囲からの評価は二分されることでしょう。

自分の仕事の守備範囲を広く認識している人であれば、次の工程や、顧客、会社全体を意識して計画を作成するでしょうし、余裕時間も組み込んでおくことも出来るでしょう。
また、長期的に取り組むことも細分化して、毎日のタスクに組み込むでしょう。
守備範囲を狭くしか把握していない人の場合は、絶えず周囲に「私はこれだけしかやりません」というオーラを発しているため、経営者としてまったく頼りにされません。

落とし穴は、計画に狂いが生じた時。
何らかの事情で顧客などから計画や優先順位を変えるように伝えられた時に、露骨にいやな顔をしたり、感情的になったりしがちです。
実行力はありますので計画を組み直せばよいだけと開き直りましょう。

3.優柔不断タイプ:
このタイプは約14%とそれほど多くはないのですが第3位に君臨。
オリンピックでいえばブロンズメダルといったところです。
本人も認める優柔不断なので、絶えず悩んでいる様子がうかがえます。

人生上の一大事、あるいは経営戦略の勘どころといった悩みならばまだしも、何につけてもどうしようか悩むことは精神衛生上、あまりプラスには作用しません。
高いレベルで迷っている人は、複雑な仕事をかかえて奮闘しているからだと思われます。
もしルーチンワーク中心であっても判断ができない人はただ怠けているだけかもしれません。

落とし穴としては、心理的に不安定になりやすいことです。
いつも切羽詰まった感じがあり、熟睡できていない場合が多いことでしょう。
アドバイスとしては、ズバリ決断力を身につけましょう。
そのためには、自分の抱える仕事(タスク)を相対的に重要さで序列づけすることです。
あとは実行あるのみ。

4.柔軟に流れの中で判断するタイプ:
このタイプはマルチタスクタイプと類似していますが、異なる点は「並行」、「バランス」といったキーワードがないことです。
つまり並行、バランスといった要素は時間管理の得意な人に特徴的な特性なので、その点を再確認したいところ。

仕事の“流れ”とは本来、外部環境と内部環境(経営資源ともいう)とを対比させながら考えるものなので、もし広い視野を持った方であれば、ズバリ優秀な経営者です。狭い視野いという場合は、あまり明確な目標を持たずに周囲に流されながら仕事をしているという可能性もあります。

一般的にこのタイプの落とし穴は、ズバリ自己実現ができづらいこと。
アドバイスは、目標を持ち、仕事の優先順位も明確にした上で予想外のことがおきた場合に柔軟性を発揮するといったところでしょうか。

5.1点集中、これだけタイプ:
このタイプは、恐らく明確な目標を持っていて集中力の高い人、あるいはマルチタスクで仕事を並行して進めるのが苦手な人かのどちらかでしょう。

落とし穴は、周囲がよく見えない場合があることです。
集中し過ぎて、多面的なものごとの見方ができず、次工程や顧客の立場が理解できづらい場合があります。
アドバイスとしては、自分と異なるタイプの人とのコミュニケーション量を増やすこと。
多面的な見方を身につけたいところです。

6.いつもバタバタ超忙しいタイプ:
忙しいイコール生産性が高い、であればよいのでっすが、忙しくても儲からないという会社や職場もあります。
人員不足の部署や、システム化が進んでいない会社などによく見受けられます。
今流行の言葉でいえばDX化以前の段階にあるということでしょうか。

このタイプの落とし穴はは、もしかしたらワーカホリック(仕事中毒)かもしれないということです。
忙しいことで安心してしまいます。
成果を上げるには、忙しさよりも冷静な判断力が必要であることを肝に銘じましょう。

次回は、経営者のレジリエンスのまとめを書こうと思います。

レジリエンスの高い人の特徴を詳しく知りたい方は、拙著:「レジリエンス(折れない心)の具体的な高め方 個人・チーム・組織」(セルバ出版)などをご覧いただければ幸いです。

toshiro@miyamacg.com (筆者:深山 敏郎)
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